消化器内科・内視鏡科みゆきクリニック

       

院長コラム

COLUMN

膵がんの症状①

 

 

膵がんの初期は、症状を感じないことがあります。

日本でStage 0と1の膵がんを200例集めて検討したところ、何らかの症状があったのは50例(25%)のみでした(Kanno A, et al. Pancreatology 2018;18:61-7)。

膵がんが大きくなると、何らかの症状を感じるようになります。

よくある膵がんの症状としては、上腹部痛や背部痛、体重減少があります。

また、がんが膵臓の頭の部分(膵頭部)にある場合、胆汁の流れが悪くなり、黄疸をおこします。

 

 

さらに自覚症状ではないのですが、糖尿病がきっかけで膵がんが見つかることがあります。

 

1.  上腹部痛

上腹部痛については、別コラムで説明します。https://miyuki-cl.com/blog/膵がんの症状②:上腹部痛/

 

2. 背部痛

膵臓は、胃の裏側(背中)で背骨の前面にあります。そのため、膵がんでは背中(特に左側)が痛くなることがあります。

背骨の前には神経が通っています。膵がんが大きくなり膵臓の外に顔を出し、神経に触れると背中の痛みが強くなります。

 

 

背中の痛みは、整形外科的な原因(背骨や筋肉など)によることがほとんどです。

しかし整形外科を受診しても背中の痛みの原因が明らかでない場合、あるいは背部痛に加えておなかの痛みもある場合は、膵がんが原因かもしれませんので、膵臓の検査を検討しましょう。

 

3. 体重減少

体重減少は、様々ながんでみられる症状です。

とくに膵がんでは、他のがんとくらべて体重減少が著しく、しかもがんの早期の段階から体重が減り始めるのが特徴です。

上の写真の症例も、2ヶ月で体重が5キロ減っていました。

膵がんで体重減少をきたす理由は、明らかではありませんでした。

しかし昨年の報告(Shibata C, et al. Clin Transp Med 2022; 12:e1089)によりますと、膵がん細胞から出される粒子(細胞外小胞)が脂肪細胞に作用して、脂肪を分解することが判明しました。

すなわち、膵がんでは、がん細胞により体中の脂肪の分解が促進され、体重が減る可能性があります。

 

4. 黄疸(閉塞性黄疸)

黄疸については、別コラムで説明します。https://miyuki-cl.com/blog/膵がんの症状③:閉塞性黄疸/

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