2025年11月12日
「血液検査で異常なし」と言われると、多くの方は安心されると思います。
しかし、膵臓の病気は血液検査だけでは見つからないことがあります。特に早期の膵がん、膵嚢胞・IPMN、膵管拡張などは、アミラーゼ、リパーゼ、CA19-9などの数値が正常でも見つかる場合があります。
このコラムでは、血液検査でわかること・わからないこと、膵臓の異常を見逃さないために必要な画像検査、そして精密検査を検討した方がよいケースについて解説します。
健診や血液検査で膵臓が心配な方へ
アミラーゼ高値、CA19-9高値、膵管拡張、膵嚢胞、IPMNなど、健診で指摘される膵臓の異常はさまざまです。検査結果全体を整理したい方は、以下の総合解説も参考になります。
「膵臓の病気は血液検査でわかりますか?」という質問

健康診断で「血液検査は異常なし」と言われると、誰しも安心しますよね。
しかし実は、膵臓(すいぞう)の病気は血液検査だけではわからないことが多いのです。
膵臓は体の奥にあり、炎症や腫瘍があっても、血液中の数値に反映されにくい臓器。
そのため、異常があっても「見逃されてしまう“隠れ病変”」が少なくありません。
血液検査でわかること・わからないこと
膵臓に関連する代表的な血液検査項目には、以下のようなものがあります。
アミラーゼ・リパーゼ
膵臓で作られる消化酵素。膵炎などで上昇しますが、軽い膵炎や膵腫瘍では正常のこともあります。
CA19-9(腫瘍マーカー)
膵がんなどで上昇することがありますが、正常でも膵がんのことがあり、逆に高値でも膵がんではない場合もあります。
あくまで“目安”となる指標です。
血糖・HbA1c
糖尿病の評価に用いられる項目です。膵臓のホルモン分泌異常(インスリンなど)により変化することがあります。
これらの数値はあくまで「参考指標」に過ぎず、膵臓の異常を確実に見つけることはできません。
特に膵がんや膵のう胞(膵管内乳頭粘液性腫瘍;IPMNなど)は、血液検査で異常が出ないまま進行することもあります。
腫瘍マーカー(CA19-9)の限界
膵がんの指標として知られる「CA19-9」という腫瘍マーカーがあります。
しかし実際には、
- 早期の膵がんでは上昇しないことが多い
- 進行しても正常のままのケースがある
- 逆に良性疾患でも上昇することがある
つまり、CA19-9が正常=膵がんがないとは言えません。
- 膵がんは血液検査で見つかりにくい
- 特に早期は異常が出ないことが多い
- 「正常だから安心」とは限らない
血液検査だけでは、膵臓の病気を完全には否定できません
✔ アミラーゼ・リパーゼが正常でも、膵臓の異常が隠れていることがあります。
✔ CA19-9が正常でも、早期の膵がんを完全に否定することはできません。
✔ 膵管拡張、膵嚢胞、IPMNなどは、画像検査で初めて見つかることがあります。
「隠れ病変」を見逃さないための画像検査とは?
膵臓の病気を早期に発見するためには、画像検査が欠かせません。
代表的な検査には次のようなものがあります。
膵臓の主な画像検査と特徴
MRI・MRCP検査
膵臓の形や膵管の異常を詳しく評価できます。
膵嚢胞(IPMN)や膵管拡張の発見に有用で、早期膵がんの手がかりとなることもあります。
CT検査
広い範囲を短時間で評価できるため、進行した膵がんや炎症の評価に有用です。
超音波内視鏡(EUS)
胃や十二指腸の内側から膵臓を観察する検査です。
数ミリの小さな腫瘍や初期変化も描出できるため、膵臓の精密検査として重要な役割を担います。
膵臓の検査はそれぞれ特徴が異なるため、目的に応じて選ぶことが重要です。
膵臓の精密検査として行う超音波内視鏡(EUS)の特徴については、 超音波内視鏡(EUS)とは?MRIやCTとの違い で詳しく解説しています。
腹部エコーで膵臓が見えにくい理由や、EUSとの違いについては、 腹部エコーで膵臓が見えないと言われた方への解説 も参考になります。
血液検査が正常でも安心できない理由
膵臓の病気は、進行するまで症状も数値も出にくいことが特徴です。
「血液検査が正常だから大丈夫」と油断しているうちに、
・上腹部や背中の痛み
・体重減少
・黄疸
といった症状が出るケースもあります。
こうしたサインが出たときには、すでに病気が進行していることが多いため、
症状が出る前の“画像検査による早期発見”が重要なのです。
このような方は一度しっかり検査を検討しましょう
- 健康診断で 膵管拡張を指摘された
- 膵嚢胞(IPMN) があると言われた
- 最近、 糖尿病が新しく発症・悪化した
- 背中の痛みや体重減少が気になる
- 血液検査は正常だが不安がある
膵臓を詳しく調べる一つの方法として「膵がんドック」
膵臓の評価には、保険診療で行う検査に加えて、より詳しく調べる方法として「膵がんドック」という選択肢があります。
MRIと超音波内視鏡(EUS)を組み合わせることで、膵臓の構造や微細な変化をより詳しく確認することが可能です。
特に、以下のような方では定期的な画像検査が重要とされています。
- 家族に膵がんの方がいる
- 糖尿病が新しく発症、または急に悪化した
- 健診で膵嚢胞を指摘された
- 喫煙や飲酒の習慣がある
ただし、すべての方に必要というわけではなく、状況に応じて適切な検査を選択することが大切です。
「血液検査だけでは不十分かもしれない」と感じた方は、一度詳しい検査をご検討ください。
血液検査だけでは不安な方へ|関連する膵臓コラム
膵臓の異常は、血液検査だけでなく、画像検査や症状、健診結果をあわせて判断することが大切です。関連する内容を以下にまとめています。
血液検査は正常でも、膵臓が心配な方へ
膵臓の病気は、血液検査だけでは見つからないことがあります。アミラーゼ、リパーゼ、CA19-9などが正常でも、膵管拡張、膵嚢胞、IPMN、小さな膵臓の異常が画像検査で見つかる場合があります。
当院では、健診結果、症状、血液検査、画像所見などを確認したうえで、必要に応じて超音波内視鏡(EUS)による精密検査に対応しています。また、自費検査としてMRI・EUS・血液検査を組み合わせた膵がんドックも行っています。
※膵嚢胞・IPMN・膵管拡張などで医学的に必要と判断される場合のEUSは、保険診療で行います。
※当院では2025年に430件の超音波内視鏡(EUS)検査を行っています。
※膵がんドックは自費検査です。
※ EUSを初めて受ける方はWEB問診の入力をお願いいたします
① WEB問診を開き、患者情報を入力してください。
② 診療科の選択で「超音波内視鏡(EUS)検査 事前問診【初診の方】」をお選びください。
③ 問診内容を確認後、必要に応じてスタッフまたは院長よりご連絡いたします。