2025年11月12日
「膵臓の病気は血液検査でわかりますか?」という質問

健康診断で「血液検査は異常なし」と言われると、誰しも安心しますよね。
しかし実は、膵臓(すいぞう)の病気は血液検査だけではわからないことが多いのです。
膵臓は体の奥にあり、炎症や腫瘍があっても、血液中の数値に反映されにくい臓器。
そのため、異常があっても「見逃されてしまう“隠れ病変”」が少なくありません。
血液検査でわかること・わからないこと
膵臓に関連する代表的な血液検査項目には、以下のようなものがあります。

これらの数値はあくまで「参考指標」に過ぎず、膵臓の異常を確実に見つけることはできません。
特に膵がんや膵のう胞(膵管内乳頭粘液性腫瘍;IPMNなど)は、血液検査で異常が出ないまま進行することもあります。
「隠れ病変」を見逃さないための画像検査とは?
膵臓の病気を早期に発見するためには、画像検査が欠かせません。
代表的な検査には次のようなものがあります。
▶ MRI・MRCP検査
膵臓の形や膵管の異常を詳しく見ることができます。
のう胞(嚢胞性腫瘍)や膵管拡張、早期の膵がんの兆候もとらえることが可能です。
▶ CT検査
広い範囲を短時間で撮影できるため、進行した膵がんや炎症の評価に有用です。
▶ 超音波内視鏡(EUS)
胃や十二指腸の中から膵臓を近距離で観察できる検査です。
数ミリの小さな腫瘍や初期の変化も描出できるため、膵臓の“最前線検査”とも言えます。
👉 さらに詳しくEUS、CT、MRIについて知りたい方はこちらhttps://miyuki-cl.com/column/超音波内視鏡(eus)とは?mriやctと何が違うの?/
👉EUSと腹部エコーの違いについて知りたい方はこちらhttps://miyuki-cl.com/column/腹部エコーで膵臓が見えない・・・超音波内視鏡/
血液検査が正常でも安心できない理由
膵臓の病気は、進行するまで症状も数値も出にくいことが特徴です。
「血液検査が正常だから大丈夫」と油断しているうちに、
・上腹部や背中の痛み
・体重減少
・黄疸
といった症状が出るケースもあります。
こうしたサインが出たときには、すでに病気が進行していることが多いため、
症状が出る前の“画像検査による早期発見”が重要なのです。
膵臓ドックという選択肢
最近では、膵臓のリスクが高い方を対象にした「膵臓ドック」が注目されています。
MRIや超音波内視鏡(EUS)を組み合わせて、膵臓の内部構造を精密に評価する検査です。
特に以下のような方にはおすすめです。
☑️家族に膵がんの方がいる
☑️糖尿病を指摘された、または急に悪化した
☑️健診で「膵のう胞」を指摘された
☑️喫煙や飲酒の習慣がある
これらの方は、膵がんのリスクがあるため、定期的な画像検査が早期発見につながります。
👉 当院でのMRIと超音波内視鏡(EUS)による”精密膵がんドック”はこちらhttps://miyuki-cl.com/medical/medical03/