2024年5月05日
70代女性の方です。
半年前から上腹部の不快感があり、さらに3か月で約8kgの体重減少を認めていました。
他院での血液検査では、
・糖尿病の急激な悪化(HbA1c 6.1 → 10.2)
・肝機能異常
を指摘されていましたが、「緊急性はない」と説明されていました。
しかしご本人が不安に感じ、当院を受診されました。
この方のポイントは以下の4つです。
・上腹部の症状(▶️ 上腹部痛と膵がんについてはこちら)
・体重減少
・糖尿病の急激な悪化(▶️ 糖尿病と膵がんについてはこちら)
・肝機能異常(▶️ 肝機能異常と膵がんについてはこちら)
これらが同時に揃った場合、膵がんを強く疑います。
これらの所見から、
「胆管閉塞を伴う膵頭部がん」
を疑い、初診当日に腹部MRI検査を行いました。
膵頭部の腫瘍(35mm)によって膵管や胆管が閉塞し、上流側が拡張しているMRI(MRCP)画像です。膵管拡張はこのように膵がんが原因となることもあり、見逃さないためには精密検査(超音波内視鏡:EUS)が重要です。
超音波内視鏡(EUS)で観察した画像です。同一症例において、MRI(MRCP)で認められた胆管・膵管拡張の原因が、膵がんによるものであることが明瞭に分かります。このように膵管拡張を指摘された場合、原因を正確に評価するためにEUSが重要です。
その場で超音波内視鏡ガイド下穿刺(EUS-FNA)を行い、
大学病院へ紹介しました。
ここまで、初診からわずか2日です。
超音波内視鏡(EUS)では、
腫瘍を直接観察しながら細い針で細胞や組織を採取することができ、
画像だけでは分からない膵がんの確定診断につながります。
後日、細胞診で膵がんと診断されました。
患者さんにとっては残念な結果でしたが、
速やかに診断し、治療へ進むことができました。
この症例のように、
- ✔ 体重減少
- ✔ 糖尿病の急な悪化
- ✔ 肝機能データの異常
- ✔ 膵管や胆管の異常
は、膵がんの重要なサインである可能性があります。
「様子を見ましょう」と言われても、
不安な場合は一度、膵臓の精密検査を受けることが重要です。
腹部エコーでは見えにくい膵臓も、EUSでは胃や十二指腸の内側から詳しく観察できます。
膵嚢胞や膵管拡張を指摘された方は、一度精密検査をご検討ください。
院長よりコメント
当院は少人数体制ですが、その分スピーディーな対応が可能です。
今後も、正確で安全、そして迅速な診断を心がけてまいります。