2026年6月01日
腹部エコーで膵臓が見えにくいと指摘され、CTでも性状がはっきりしなかった膵嚢胞に対して、超音波内視鏡検査(EUS)でIPMNと診断した症例を紹介します。膵臓が見えにくい場合に追加検査が必要となるケースについて、専門医が解説します。
症例
症例は50代男性です。左上腹部の痛みを主訴に当院を受診されました。
最近受けた人間ドックの腹部エコー検査では、「膵臓描出不良」、つまり膵臓が十分に見えないという結果でした。
閉所恐怖症がありMRI検査が難しいため、まず造影腹部CT検査を行いました。CTでは膵体部に小さな嚢胞を認めましたが、嚢胞の性状までははっきりしませんでした。
そのため、膵臓をより詳しく観察する目的で、超音波内視鏡検査(EUS)を施行しました。
EUSでは、膵体部に7mmの嚢胞を認め、主膵管との交通が確認できました。この所見から、分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と診断しました。
さらに、CT検査でははっきり確認できなかった膵頭部にも、12mmの嚢胞を認めました。
このように、腹部エコーやCTで膵臓の一部が見えにくい場合でも、EUSを行うことで、より詳細に膵臓を観察できることがあります。
今後は、嚢胞の大きさや形の変化、主膵管の拡張、壁在結節の有無などに注意しながら、定期的な画像検査で経過を確認していく方針です。
この症例からわかること
この症例では、人間ドックの腹部エコーで「膵臓描出不良」と指摘されました。 腹部エコーは体への負担が少ない検査ですが、胃や腸のガス、体格、膵臓の位置などの影響により、膵臓全体を十分に観察できないことがあります。
腹部エコーで膵臓が見えにくいという結果だけで、必ずしも膵臓の病気があるという意味ではありません。 一方で、膵嚢胞、膵管拡張、腫瘍マーカー高値、腹痛などを伴う場合には、追加の画像検査を検討することがあります。
今回の症例では、閉所恐怖症のためMRI検査が難しく、まず造影CTを行いました。 CTでは膵体部に小さな嚢胞を認めましたが、嚢胞の性状や主膵管との関係までははっきりしませんでした。
そのため、より詳しく膵臓を観察する目的で超音波内視鏡検査(EUS)を行いました。 EUSでは、膵体部の7mm嚢胞が主膵管と交通していることが確認でき、分枝型IPMNと診断しました。 さらに、CTでははっきりしなかった膵頭部の12mm嚢胞も確認されました。
このような所見や症状がある場合は、追加検査を検討することがあります
腹部エコーで膵臓が見えにくいという結果だけで、必ずしも病気があるとは限りません。 ただし、以下のような所見や症状がある場合には、CT、MRI/MRCP、超音波内視鏡検査(EUS)などの追加検査を検討することがあります。
- 膵嚢胞を指摘されている
- 膵管拡張を指摘されている
- CA19-9などの腫瘍マーカー高値を指摘されている
- 腹痛などの症状がある
EUSで膵嚢胞を詳しく確認できることがあります
膵嚢胞が見つかった場合には、嚢胞の大きさだけでなく、主膵管との関係、壁在結節の有無、膵管拡張の有無などを確認することが重要です。
超音波内視鏡検査(EUS)は、胃や十二指腸の中から膵臓の近くに超音波をあてて観察する検査です。
体の外から行う腹部エコーに比べて、胃腸のガスや体格の影響を受けにくく、膵臓をより近い距離から観察できることがあります。
特に、CTやMRIで判断が難しい小さな膵嚢胞、主膵管との交通、壁在結節の有無などを確認する際に、EUSが役立つことがあります。
ただし、すべての方にEUSが必要というわけではありません。嚢胞の大きさ、画像所見、症状、年齢、家族歴、糖尿病の有無などをふまえて、必要な検査を判断します。
IPMNとはどのような病気ですか?
IPMNは、膵管内乳頭粘液性腫瘍の略称です。 膵管の中に粘液を作る細胞が増えることで、膵管やその枝が袋状に広がって見える病変です。
IPMNには、主膵管に関係するタイプと、膵管の枝にできる分枝型があります。 今回の症例では、主膵管と交通する小さな嚢胞として確認され、分枝型IPMNと診断しました。
分枝型IPMNの多くは、すぐに治療が必要になるわけではありません。 一方で、IPMNは膵がんとの関連が知られており、嚢胞の大きさの変化、壁在結節、主膵管拡張などに注意しながら、定期的に経過を確認することがあります。
IPMNと膵がんの関係について詳しく知りたい方は、 IPMNと膵がんの関係についての解説 もご参照ください。
腹部エコーで膵臓が見えにくい・IPMNに関するよくある質問
◆ Q.腹部エコーで膵臓が見えにくいと言われたら、膵臓の病気があるということですか?
必ずしも膵臓の病気があるという意味ではありません。腹部エコーでは、胃や腸のガス、体格、膵臓の位置などの影響により、膵臓が十分に見えないことがあります。ただし、膵嚢胞、膵管拡張、腫瘍マーカー高値、腹痛などを伴う場合には、追加検査を検討することがあります。
◆ Q.腹部エコーで膵臓が見えない場合、次はどの検査を受けるべきですか?
状況によって異なりますが、CT、MRI/MRCP、超音波内視鏡検査(EUS)などが検討されます。
膵嚢胞や膵管拡張を詳しく確認する場合には、MRI/MRCPやEUSが役立つことがあります。閉所恐怖症などでMRIが難しい場合には、CTやEUSを組み合わせて評価することもあります。
◆ Q.IPMNはすぐに治療が必要な病気ですか?
IPMNと診断されても、すぐに手術や治療が必要になるとは限りません。特に小さな分枝型IPMNでは、定期的な画像検査で経過を確認することが多くあります。
一方で、嚢胞が大きくなる、壁在結節を認める、主膵管が拡張するなどの変化がある場合には、より詳しい検査や専門的な判断が必要になります。
◆ Q.CTで小さな膵嚢胞が見つかった場合、EUSは必要ですか?
すべての膵嚢胞にEUSが必要というわけではありません。嚢胞の大きさ、場所、主膵管との関係、膵管拡張の有無、症状、年齢、家族歴などをふまえて判断します。
CTやMRIで性状がはっきりしない場合や、壁在結節の有無を確認したい場合には、EUSが役立つことがあります。
◆ Q.EUS検査はどのような検査ですか?
EUSは、胃カメラの先端に超音波装置がついた内視鏡を使い、胃や十二指腸の中から膵臓を観察する検査です。
膵臓の近くから観察できるため、腹部エコーやCTではわかりにくい小さな嚢胞や、主膵管との関係を確認できることがあります。当院では、鎮静剤を使用し、検査への不安や苦痛に配慮しながらEUSを行っています。
この症例のポイント
腹部エコーで膵臓が見えにくいという結果だけで、必ずしも膵臓の病気があるとは限りません。 ただし、次のような所見や症状がある場合には、追加検査を検討することがあります。
- 膵嚢胞を指摘されている
- 膵管拡張を指摘されている
- CA19-9などの腫瘍マーカー高値を指摘されている
- 腹痛などの症状がある
今回の症例では、EUSにより小さな膵嚢胞と主膵管との関係を確認し、分枝型IPMNと診断しました。
腹部エコーで膵臓が見えにくい、
膵嚢胞・IPMNを指摘された方へ
腹部エコーで膵臓が見えにくいと指摘されても、必ずしも膵臓の病気があるという意味ではありません。 一方で、膵嚢胞、膵管拡張、IPMN、CA19-9高値、腹痛などを伴う場合には、追加の画像検査を検討することがあります。
膵臓は腹部エコーやCTだけでは詳しく評価しにくいことがあります。 当院では、検査結果や症状の有無を確認したうえで、必要に応じてMRI/MRCP、CT、超音波内視鏡検査(EUS)などを組み合わせて評価しています。
すでに膵嚢胞・IPMN、膵管拡張などを指摘されている方は、まず保険診療での評価をご検討ください。 明らかな異常や症状はないものの、膵臓を一度詳しく調べたい方には、MRI+EUSを組み合わせた膵がんドックも選択肢となります。
当院では2025年に430件の超音波内視鏡(EUS)検査を行っています。
※ 膵臓の異常を指摘され、詳しい評価をご希望の方は、WEB問診をご利用ください
① WEB問診を開き、患者情報を入力
② 診療科の選択で「超音波内視鏡(EUS)検査 事前問診【初診の方】」をお選びください
③ 指摘された内容(膵嚢胞・IPMN、膵管拡張、CA19-9高値、アミラーゼ高値など)、これまでの検査結果、症状の有無などをご入力ください
④ 問診にご回答後、折り返しの電話連絡を希望する方には、翌営業日以降にスタッフまたは院長よりご連絡いたします
※本コラムで紹介する症例は、当院で経験した症例をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整して掲載しています。掲載時期と実際の検査時期は必ずしも一致しません。