2026年6月22日
膵がんドックで見つかった膵尾部の小さな結節について、腹部MRIと超音波内視鏡検査(EUS)で評価した症例です。
結果は膵がんではなく、良性の膵内副脾でした。
膵臓の小さな病変は、膵腫瘍との鑑別を含めた丁寧な評価が大切です。
症例
30代女性の方です。
ご家族が膵がんと診断されたことをきっかけに、当院の腹部MRIと超音波内視鏡検査(EUS)による膵がんドックを受けられました。
腹部MRIでは、膵尾部に7mm大の境界明瞭な結節を認めました。この結節は、脾臓に似た信号を示していました。
膵尾部に認めた7mm大の結節。MRIおよび超音波内視鏡検査(EUS)で脾臓に似た所見を示し、膵内副脾と考えられました。
超音波内視鏡検査(EUS)では、膵尾部に7mm大の円形の腫瘤性病変を認めました。
病変のエコー輝度は脾臓に似ており、膵臓内に存在する脾臓組織、すなわち膵内副脾が疑われました。
超音波内視鏡検査(EUS)で確認された膵内副脾です。膵尾部に、脾臓と似た見え方をする小さな結節として認められました。
後日、造影MRIを行い、この病変が膵内副脾であることを確認しました。
副脾とは
副脾とは、本来の脾臓とは別に存在する小さな脾臓組織のことです。先天的なもので、約1割の方に見られるとされています。
多くは良性で、特に症状を起こさず、治療の必要がないことがほとんどです。
副脾は脾臓の近くに見られることが多いですが、まれに膵臓の中、特に膵尾部に見つかることがあります。これを「膵内副脾」と呼びます。
膵内副脾は良性の病変ですが、画像検査では膵神経内分泌腫瘍などの膵腫瘍と似て見えることがあります。そのため、MRIやEUS、必要に応じて造影検査などを組み合わせて慎重に評価することが大切です。
今回の症例から言えること
今回のように、膵がんドックで小さな結節が見つかることがあります。
その中には、膵がんや膵腫瘍だけでなく、膵内副脾のような良性病変も含まれます。
大切なのは、「小さな病変を見つけること」と同時に、「それが本当に治療を要する病変なのかを正しく見極めること」です。
今回の症例では、腹部MRIとEUS検査の所見から膵内副脾と診断できました。そのため、それ以上の精密検査や治療は不要と判断され、患者さんにも安心していただくことができました。
当院では、腹部MRIと超音波内視鏡検査(EUS)を組み合わせることで、膵臓の小さな病変についても、できるだけ丁寧に評価するよう心がけています。
ご家族に膵がんの方がいる場合や、膵嚢胞、膵管拡張、膵腫瘤などを指摘された場合には、必要に応じて専門的な評価を受けることが大切です。
ご家族に膵がんの方がいる方、
膵臓の検査に不安がある方へ
膵がんドックでは、腹部MRIと超音波内視鏡検査(EUS)を組み合わせて、膵臓を詳しく評価します。小さな病変が見つかった場合にも、それが治療を要する病変なのか、良性の変化なのかを慎重に見極めることが大切です。
膵がんドックについて詳しく見る※本コラムで紹介する症例は、当院で経験した症例をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整して掲載しています。掲載時期と実際の検査時期は必ずしも一致しません。