血液検査でピロリ菌陽性だったのですが、治療した方がいいですか?|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

〒206-0025東京都多摩市永山1丁目5 ベルブ永山211

042-372-4853

WEB予約 WEB問診 Instagram コラム

MRIと超音波内視鏡による膵がんドック

下層メインビジュアル

血液検査でピロリ菌陽性だったのですが、治療した方がいいですか?

血液検査でピロリ菌陽性だったのですが、治療した方がいいですか?|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

2025年10月22日

はじめに

ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は、胃の中にすみつく細菌で、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍、そして胃がんの原因となります。

ピロリ菌を除菌治療することで、以下のような効果が得られます。

🔹慢性胃炎の進行を抑える
🔹胃・十二指腸潰瘍の再発を防ぐ
🔹胃がんの発生リスクを下げる

このように、ピロリ菌の除菌は胃がん予防の第一歩といえます。
除菌治療を行う前に、まずは本当にピロリ菌がいるかどうかを確認する必要があります。
ピロリ菌の検査にはいくつかの方法がありますが、健診や人間ドックでは主に「血液中のピロリ菌抗体検査」が行われます。当院にも健診結果を持って来院され、


「ピロリ菌で引っかかったのですが、どうすればいいですか?」
「ピロリ菌が陽性なので治療してください」


といったご相談をいただくことがよくあります。
このコラムでは、「血液検査でピロリ菌抗体が陽性だった場合に、どう対応すればよいのか」について、分かりやすく解説します。

血液検査でピロリ菌陽性=すぐに治療?

健診や人間ドックで「ピロリ菌抗体検査(血液検査)」を受け、「陽性」と言われた方も多いのではないでしょうか。
しかし、血液検査だけでは「現在も感染しているか」まではわかりません。
血液検査は、体内にあるピロリ菌に対する抗体を調べる検査です。過去に感染していた場合でも、抗体が残っていると「陽性」になることがあります。
そのため、


 ・現在もピロリ菌が胃の中にいるのか
 ・それとも以前に感染していて、すでに除菌されているのか


を区別するためには、追加の検査が必要になります。このプロセスを経ずに除菌治療することは推奨されておらず、日本ヘリコバクター学会からも注意喚起がされています(https://www.jshr.jp/medical/committee/stomach/news_221208.html)。

ピロリ菌の確認検査の前に

血液検査でピロリ菌が「陽性」と出た場合、まずは本当に感染しているかどうかを確認する検査を行います。

ただし、しかしその前にまず、胃内視鏡検査(胃カメラ)を行い、胃の状態(慢性胃炎の有無など)と胃がんがないかを詳細に調べる必要があります。

実は、保険診療のルールとして、

胃カメラで胃の状態を確認しないまま、ピロリ菌検査だけを行うことはできません。

もし、胃カメラを受けずにピロリ菌検査を希望される場合は、自費診療(保険適用外)となります。
この場合、検査だけでなく、その後の除菌治療も自費扱いになりますのでご注意ください。

胃カメラで慢性胃炎があることが確認された場合、保険診療の範囲でピロリ菌の確認検査を受けることができます。

ピロリ菌の「確認検査」

血液検査でピロリ菌が陽性となった場合、次のステップは「本当に感染しているか」を確かめる確認検査です。
確認検査にはいくつかの方法があり、それぞれ特徴があります。

1. 尿素呼気試験(呼気検査)
袋に息を吹き込むだけで、ピロリ菌の有無を調べられる簡単で痛みのない検査です。
ピロリ菌がいると、特定のガス(二酸化炭素)が増えるため、その変化を測定して診断します。
検査時間はおよそ30分程度で、除菌治療後の効果判定にも広く使われています。

2. 便中抗原検査
便を使って、ピロリ菌の「抗原(菌の成分)」が含まれているかを調べる検査です。
精度が高く、痛みもなく行えるのが特徴です。



3. 胃内視鏡検査(胃カメラ)
胃カメラで胃の粘膜を直接観察しながら、一部を採取して検査します。
採取した組織を使って、次のような方法でピロリ菌の有無を調べます。


鏡検法:顕微鏡でピロリ菌を直接確認する方法
迅速ウレアーゼ法:特殊な液に組織を入れ、ピロリ菌が作る酵素の反応を利用して診断する方法


さらに近年では、採取した胃液を用いてPCR検査を行うことも可能になりました。
PCR法では、ピロリ菌の遺伝子を検出できるため、従来よりも短時間(約50分)で高精度に結果がわかります。

感染が確認されたら「除菌治療」を

確認検査でピロリ菌感染が認められた場合には、除菌治療を受けることが推奨されています。

治療は、胃酸を抑える薬と2種類の抗生剤を1週間内服するだけです。
ほとんどの方が1回の治療で除菌できます。また、最近では「ピロリ菌のPCR検査」によって、
耐性菌(薬が効きにくい菌)かどうかを判定し、薬を選ぶ“テーラーメイド治療“も可能になっています。👉 関連コラムはこちらhttps://miyuki-cl.com/column/あなたのピロリ菌にその抗生剤は効きますか?:/

まとめ

血液検査でピロリ菌陽性といわれた場合、すぐに除菌治療を始めるのではなく、まずは感染の有無を正確に確認することが大切です。
もし感染があれば、除菌によって胃炎・潰瘍・胃がんの予防が可能です。
放置せず、早めに専門医に相談しましょう。
当院では、


 🔹呼気検査・便中抗原検査による感染確認
 🔹胃カメラによる精密診断
 🔹PCRを用いた耐性菌判定
 🔹一人ひとりに合わせた除菌治療


を行っております。お気軽にご相談ください。

TOP