【症例】スキルス胃がんとは?胃カメラでも診断が難しい胃がんの症状・検査・注意点|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

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【症例】スキルス胃がんとは?胃カメラでも診断が難しい胃がんの症状・検査・注意点

【症例】スキルス胃がんとは?胃カメラでも診断が難しい胃がんの症状・検査・注意点|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

2025年10月04日

はじめに

「スキルス胃がん」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

スキルス胃がんは、胃の壁が硬く厚くなるタイプの胃がんで、通常の胃がんと比べて内視鏡検査や生検でも診断が難しいことがあります。初期にははっきりした症状が出にくく、進行してから見つかることも少なくありません。

一方で、胃もたれ、食欲不振、食事のつかえ感、体重減少などの症状が続く場合には、早めに胃カメラで確認することが大切です。

本コラムでは、当院で経験した症例をもとに、スキルス胃がんの症状、胃カメラでの所見、診断が難しい理由について解説します。

症例

60代の女性の患者さんです。


10年前にピロリ菌を除菌しており、お母様も胃がんを経験されていました。半年前から「食事が胸につかえる感じ」が続いていましたが、5年前に他院で受けた胃カメラがとても苦しかったため、検査を先延ばしにしていました。

「鎮静剤を使用した胃カメラに対応している」と聞いて当院を受診され、内視鏡検査を行いました。

胃カメラ検査の流れや鎮静剤を使用した検査については、 胃内視鏡検査(胃カメラ)について で詳しく解説しています。

すると、胃のひだが芋虫のように太くなり、空気を入れても胃が膨らまないという異常がみられました。

*参考までに正常な胃の写真です。ひだの太さと胃の広がり方が違うのが一目瞭然です。

3か所から生検を行いましたが、病理検査の結果はいずれも「がんなし」でした。それでもスキルス胃がんの可能性が高いと判断し、総合病院で精密検査を受けていただくことにしました。

総合病院でも2回胃カメラを行い生検しましたが、結果はすべて陰性でした。そのため、さらに粘膜の一部を切除して詳しく調べる(内視鏡的粘膜下層剥離術:ESD)ことになり、ようやく胃がん細胞が確認されました。

残念ながら、その時点で腹膜への転移が見つかり、根治手術は難しく、抗がん剤による治療が選択されました。

スキルス胃がん

スキルスの由来

スキルス胃がんの“スキルス”とは、ギリシャ語で「硬い」という意味の “skirrhos” に由来し、ドイツ語の医学用語 Skirrhus(シュキルルス)が日本に伝わる中で「スキルス」と呼ばれるようになりました。

この名前の通り、スキルス胃がんは胃の壁が硬く厚くなるのが特徴です。そのため、初期にははっきりとした腫瘍の形が見えにくく、発見が難しいことがあります。

症状

スキルス胃がんは、初期には症状がほとんど出ないことが多いため、発見が難しいといわれます。進行すると次のような症状が現れることがあります。
 
 ・食欲不振、体重減少
 ・胃もたれ、吐き気
 ・みぞおちの痛みや不快感
 ・貧血によるだるさ
 
「なんとなく胃の調子が悪い」という程度でも、長く続く場合は注意が必要です。

診断

スキルス胃がんの診断には、次のような検査が行われます。
 
・胃内視鏡検査(胃カメラ)
 胃の粘膜を直接観察し、疑わしい部位から生検(組織を採取して顕微鏡で調べる検査)を行います。


バリウム検査(胃X線検査)
 バリウムを飲んでX線で胃の形を確認します。スキルス胃がんでは、胃全体が「やせて硬くなったように」写ることがありますが、初期の段階では発見が難しいこともあります。


CT・MRI検査
 胃壁の厚みや、周囲のリンパ節・臓器への広がりを確認します。


超音波内視鏡検査(EUS)
 胃カメラの先端に超音波を搭載した機器を用い、胃の壁の厚さや層構造を詳しく調べることができます。

診断の難しさ

胃がんの確定診断には、病理検査でがん細胞を確認することが必須です。通常の胃がんであれば、内視鏡で生検を行うことで比較的容易に診断がつきます。
しかしスキルス胃がんは、
 
 ・がん細胞が粘膜の表面まで出ていない場合がある
 ・がん細胞が少なく、検体に含まれにくい場合がある
 
といった理由で、本症例のように通常の生検では確定診断が難しいことがあるのが特徴です。そのため、繰り返しの検査や高度な診断技術が必要になることがあります。

治療

スキルス胃がんは進行が速いため、早期発見と治療開始が重要です。治療の基本は以下のとおりです。
 
 ・手術(胃切除術):がんが切除可能な場合は、根治を目指して胃を部分的または全摘します。


 ・化学療法(抗がん剤治療):手術が難しい場合や再発予防として行います。


 ・臨床試験・新しい薬剤:一部のケースでは分子標的薬や免疫療法も検討されます。

まとめ

スキルス胃がんは、検査を受けても簡単には見つからないことがある病気です。症状があっても「前回の検査が苦しかったから」と先延ばしにしてしまうと、発見が遅れる危険性があります。
だからこそ、
 
 ・胃の症状が続くときは早めに受診すること
 ・定期的な内視鏡検査を受けてフォローすること

 
がとても大切です。
 
当院では、鎮静剤を使用した胃カメラにも対応しており、検査への不安や苦痛に配慮しながら内視鏡検査を行っています。

「以前の胃カメラがつらかった」「怖くて検査を先延ばしにしている」という方も、症状が続く場合は早めの確認をご検討ください。

胃もたれ・食欲不振・食事のつかえ感が続く方へ

スキルス胃がんは、初期には症状がはっきりしないことがあり、胃カメラや生検でも診断が難しい場合があります。 胃もたれ、食欲不振、食事のつかえ感、体重減少などの症状が続く場合は、早めに胃の状態を確認することが大切です。

当院では、鎮静剤を使用した胃カメラにも対応しており、検査への不安や苦痛に配慮しながら内視鏡検査を行っています。

※症状や既往歴によっては、診察後に検査内容を判断する場合があります。
※鎮静剤の使用可否は、年齢・持病・当日の体調などを確認したうえで判断します。

参考文献

日本胃癌学会(編).胃癌治療ガイドライン第6版. 金原出版 2021.

小山 洋平、他.胃と腸 2020;55:795-802.

中島 寛隆、他. 外科 2019;81:16-21.

吉田 将雄、他. 胃と腸 2024;59:1655-62.

太田 高志、他. 胃と腸 2024;59:1679-87.

※本コラムで紹介する症例は、当院で経験した症例をもとに、個人が特定されないよう一部内容を調整して掲載しています。掲載時期と実際の検査時期は必ずしも一致しません。

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