2023年2月27日
膵がんは「症状が出にくいがん」と言われますが、実際にはいくつかのサインが現れることがあります。
特に、背中の痛み・体重減少・糖尿病の変化・黄疸などは重要な手がかりです。
本記事では、膵がんの主な症状を整理し、それぞれの特徴と受診の目安について解説します。
膵臓の病気は症状だけでは判断が難しいこともあります。
検査について詳しく知りたい方は 超音波内視鏡(EUS)とは も参考にしてください。
膵がんは初期には症状が出ないことがあります
膵がんは、初期の段階では症状を感じないことが少なくありません。
日本でStage 0およびStage 1の膵がん200例を検討した報告では、何らかの症状があったのは50例(25%)にとどまっていました(Kanno A, et al. Pancreatology 2018;18:61-7)。
このような膵がんの早期発見に関する研究については、 膵がんの早期発見を目指した日本の研究の解説 で詳しく解説しています。
膵がんでみられる主な症状
一方で、膵がんが進行し大きくなると、徐々に症状が現れることがあります。
| 症状 | 頻度 |
|---|---|
| 腹痛 | 78〜82% |
| 背部痛 | 48% |
| 体重減少 | 66〜84% |
| 黄疸 | 56〜80% |
※Sharma C, et al. World J Gastroenterology 2011;17:867-97 をもとに作成
代表的な症状としては、上腹部痛、背部痛、体重減少などが知られています。
また、膵臓の頭の部分(膵頭部)にできた場合には、胆汁の流れが悪くなり、黄疸を引き起こすことがあります。
さらに自覚症状ではありませんが、糖尿病の新規発症や急激な悪化をきっかけに膵がんが見つかることがあります。
特に、これまで問題がなかった方が新たに糖尿病と診断された場合や、急に血糖コントロールが悪化した場合には、膵臓の病気が隠れている可能性も指摘されています。
詳しくは、 糖尿病の新規発症・悪化と膵がんの関係についての解説 をご参照ください。
1. 上腹部痛
上腹部痛は比較的よくみられる症状の一つです。
詳しくは 膵がんの症状②:上腹部痛の解説 をご参照ください。
2. 背部痛
腹痛・体重減少・黄疸などが比較的多くみられますが、初期には症状が出ないこともあります。
膵臓は胃の裏側、背骨の前に位置しています。そのため膵がんでは、背中(特に左側)に痛みを感じることがあります。
膵がんが進行し膵臓の外に広がると、神経に触れることで痛みが強くなることがあります。
詳しくは 膵がんと背中の痛み で解説しています。
ただし、背中の痛みの多くは筋肉や骨など整形外科的な原因によるものです。
整形外科で原因がはっきりしない場合や、背中の痛みに加えて腹部の痛みもある場合には、膵臓が関係している可能性もあるため、精密検査を検討してもよいかもしれません。
3. 体重減少
体重減少はさまざまながんでみられますが、膵がんでは比較的早い段階から現れることがあります。
詳しくは 膵がんと体重減少 で解説しています。
特に、短期間で急激に体重が減少する場合には注意が必要です。
実際の症例でも、2ヶ月で5kg程度の体重減少がみられたケースがあります。
近年の研究では、膵がん細胞から放出される物質(細胞外小胞)が脂肪細胞に作用し、脂肪の分解を促進することが報告されています(Shibata C, et al. Clin Transp Med 2022;12:e1089)。
4. 黄疸(閉塞性黄疸)
膵頭部に腫瘍ができると胆汁の流れが妨げられ、尿の色が濃くなったり皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」が現れることがあります。
詳しくは 膵がんの症状③:閉塞性黄疸の解説 をご参照ください。
- 初期の膵がんは、自覚症状がないことがあります
- 進行すると、上腹部痛・背部痛・体重減少・黄疸などがみられることがあります
- 新たに発症した糖尿病や、急な悪化がきっかけで見つかることもあります
どの症状が危険か
特に注意が必要なのは、次のような症状です。
- ☑️ 原因不明の体重減少
- ☑️ 持続する背中の痛み
- ☑️ 糖尿病の急な悪化
- ☑️ 尿の色の変化(黄疸のサイン)
複数の症状が重なる場合には、膵臓の病気の可能性も考慮されます。
気になる症状がある場合には、症状だけで判断せず、一度画像検査などで確認しておくことが安心につながります。
気になる症状がある方へ(背中の痛み・体重減少・尿の色の変化など)
背中の痛みや原因不明の体重減少、糖尿病の変化、
尿の色が濃い・白目が黄色いといった症状がある場合、膵臓や胆管の病気が関係している可能性があります。
これらの症状は一つだけでは判断が難しいことも多く、必要に応じて画像検査で確認することが重要です。
「念のため確認しておきたい」と感じた段階でのご相談も可能です。
当院では、保険診療で腹部エコー・内視鏡検査に加え、
膵臓や胆管を詳しく評価できる超音波内視鏡(EUS)を行っています。
超音波内視鏡(EUS)年間430件(2025年)・累計2000件の検査実績(2026年2月時点)をもとに診療を行っています。