2022年10月26日
糖尿病と膵がんは深い関係があり、特に「新しく糖尿病になった」「急に血糖コントロールが悪化した」場合には注意が必要です。
膵がんが原因で糖尿病を発症するケースも知られており、早期発見の重要なサインとなることがあります。
本記事では、膵がんと糖尿病の関係、注意すべき変化、必要な検査について専門医がわかりやすく解説します。
2022年10月20日に開催された第36回 多摩糖尿病チーム医療研究会において、 「膵がんと糖尿病」という演題で基調講演をさせていただきました。
第36回 多摩糖尿病チーム医療研究会にて、「膵がんと糖尿病」について講演を行いました。
膵臓は、インスリンを分泌して血糖値を調整する重要な臓器です。 そのため、膵臓に異常が生じると、糖尿病と深く関係することがあります。
✔ 糖尿病は膵がんの危険因子とされています
✔ 膵がん患者さんの40〜50%に糖尿病を合併すると報告されています
✔ 糖尿病の方は、糖尿病のない方と比べて膵がんリスクが約1.8〜2.1倍高いとされています
糖尿病は膵がんのサイン?新規発症・悪化で注意すべきポイント
膵がんと糖尿病の関係を考えるうえで重要なのは、 「長期糖尿病」と「新規糖尿病」を分けて考えることです。
長期糖尿病
長年にわたり糖尿病を治療している方では、糖尿病そのものが膵がんの危険因子になっている可能性があります。
新規糖尿病
一方で、新たに糖尿病と診断された方では、膵がんが原因となって糖尿病を発症している可能性があります。
近年では、 「長期糖尿病は膵がんの危険因子である」、 「新規糖尿病は膵がんのサインである可能性がある」 という考え方が重視されています。
どのような変化に注意すべきか
特に、以下のような変化がみられる場合には注意が必要です。
- ✔︎ 長く糖尿病を治療しているのに、急に血糖コントロールが悪くなった
- ✔︎ 原因がはっきりしない体重減少がある
- ✔︎ 最近になって糖尿病と診断された
- ✔︎ 中高齢で新規糖尿病を発症し、さらに体重減少を伴っている
👉 こうした変化は、膵がんによる糖尿病の可能性を考えるきっかけになります
膵がんの早期発見には、膵臓の精密検査が重要です
膵がんは、初期には自覚症状が乏しく、早期発見が難しいがんです。 そのため、糖尿病患者さんの中から膵がんを早期に見つけるためには、 血糖値の変化や体重減少などのサインを見逃さず、適切な画像検査につなげることが大切です。
膵臓の評価にはCTやMRIなどの画像検査がありますが、 小さな病変や膵管の変化をより詳しく調べたい場合には、超音波内視鏡(EUS)が有用です。
膵臓をより詳しく調べたい方へ
当院では、超音波内視鏡(EUS)による膵臓の精密検査を行っています。
糖尿病の変化や体重減少など、膵臓の異常が気になる方はご相談ください。
糖尿病診療に関わる先生方の役割は重要です
通常、糖尿病は糖尿病科や一般内科で診療されることが多い疾患です。 そのため、糖尿病患者さんの中から膵がんを早期に発見するためには、 日常診療のなかで血糖値の変化や体重減少に気づく糖尿病・内科の先生方の役割が非常に重要です。
今回の講演が、難治がんである膵がんの早期発見に少しでも役立てば幸いです。
まとめ
- ✔︎ 糖尿病は膵がんと深い関係があります
- ✔︎ 長期糖尿病は危険因子、新規糖尿病は膵がんのサインである可能性があります
- ✔︎ 血糖コントロールの悪化や体重減少がある場合は注意が必要です
- ✔︎ 膵がんの早期発見には、膵臓の精密検査が重要です
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糖尿病の変化が気になる方へ
新たに糖尿病と診断された方や、血糖値が急に悪化した方の中には、膵臓の病気が関係している可能性もあります。
症状だけでは判断が難しいため、一度画像検査で膵臓の状態を確認しておくと安心です。
当院では、超音波内視鏡(EUS)による精密検査や、膵がんドックを行っています。
超音波内視鏡(EUS)年間430件(2025年)・累計2000件(2026年2月時点)の検査実績をもとに診療を行っています。
謝辞
このような貴重な機会を与えてくださった多摩センタークリニックみらい院長の藤井仁美先生、 多摩糖尿病チーム医療研究会代表幹事の杏林大学医学部 糖尿病・内分泌・代謝内科学講師および近藤医院副院長の近藤琢磨先生、 大正製薬株式会社の関係者の皆様、 そして本講演に際して資料をご提供くださった埼玉医科大学 消化器内科准教授の水野卓先生、 東京大学 光学医療診療部准教授の中井陽介先生に厚く御礼申し上げます。