2026年5月23日
健診の血液検査で「アミラーゼ高値」を指摘され、膵臓の病気ではないかと不安になる方は少なくありません。 アミラーゼは膵臓などから分泌される消化酵素で、膵炎など膵臓の病気と関係することがありますが、膵臓以外の原因で上昇することもあります。
本コラムでは、健診などで血清アミラーゼ高値を指摘された方に向けて、考えられる原因、放置してよい場合と注意が必要な場合、必要となる精密検査について分かりやすく解説します。
アミラーゼとは?
アミラーゼとは、でんぷんなどの炭水化物を分解する消化酵素の一つです。 主に膵臓と唾液腺で作られており、血液検査で数値を確認することができます。
アミラーゼが高い場合、膵臓の病気が関係していることもありますが、唾液腺など膵臓以外の原因で上昇することもあります。
健診でアミラーゼ高値を指摘されたときに考えること
健診でアミラーゼが高いと指摘された場合、まず大切なのは「どこからアミラーゼが上昇しているのか」を考えることです。 アミラーゼは主に膵臓と唾液腺で作られるため、膵臓以外の原因で高くなることもあります。
また、腹痛、背中の痛み、吐き気、発熱、体重減少などの自覚症状があるかどうかも重要です。 症状を伴う場合や、アミラーゼ高値が続く場合には、原因を確認するための追加検査が必要になることがあります。
アミラーゼ高値の原因は膵臓だけではありません
アミラーゼは主に膵臓と唾液腺で作られるため、血液検査でアミラーゼが高い場合でも、原因が膵臓にあるとは限りません。 膵臓の病気で上昇することもありますが、唾液腺の病気、体質的な要因、腎機能の低下など、膵臓以外の原因で高くなることもあります。
アミラーゼ高値で考えられる主な原因
膵臓由来
急性膵炎、慢性膵炎、膵管拡張、膵嚢胞・IPMNなど
唾液腺由来
耳下腺炎、唾石症、唾液腺の炎症など
体質的・その他の原因
マクロアミラーゼ血症、腎機能低下、薬剤の影響など
このように、アミラーゼ高値だけで原因を決めることはできません。 当院では、必要に応じてアミラーゼ分画やリパーゼを確認し、膵臓由来の上昇かどうかを評価します。 そのうえで、症状の有無、数値の推移、他の血液検査、腹部エコーやMRI・CTなどの画像検査を組み合わせて判断します。
膵臓由来のアミラーゼ高値
膵臓に炎症や負担がかかっている場合、血液中のアミラーゼが上昇することがあります。 代表的なものとして、急性膵炎、慢性膵炎、膵管の狭窄や膵管拡張、膵嚢胞・IPMNなどが挙げられます。
特に、腹痛や背中の痛み、吐き気、発熱などを伴う場合や、アミラーゼ高値が繰り返し続く場合には、膵臓や胆道系の病気が隠れていないか確認が必要です。 また、健診や画像検査で膵管拡張や膵嚢胞を指摘されている場合には、血液検査だけで判断せず、画像検査を含めた評価が重要になります。
唾液腺由来のアミラーゼ高値
アミラーゼは唾液腺でも作られているため、唾液腺の炎症やトラブルによって上昇することがあります。 耳下腺炎、唾石症、口腔内や唾液腺の炎症などが原因となることがあります。
この場合、膵臓の病気ではなく、耳の下やあごの周囲の腫れ・痛み、口の中の違和感などを伴うことがあります。 必要に応じて、アミラーゼ分画という検査で、膵臓由来か唾液腺由来かを調べることがあります。
マクロアミラーゼ血症など体質的な高値
アミラーゼ高値の中には、病気ではなく体質的に高く出るものもあります。 その一つがマクロアミラーゼ血症です。
マクロアミラーゼ血症では、アミラーゼが血液中のたんぱく質などと結合して大きな分子となり、腎臓から排泄されにくくなるため、血液中のアミラーゼが高くなります。 多くの場合、膵炎などの明らかな病気を伴わず、経過観察となることがあります。
ただし、自己判断で「体質だから大丈夫」と決めつけるのは避けましょう。 アミラーゼ高値が続く場合や、症状を伴う場合には、医療機関で原因を確認することが大切です。
アミラーゼ高値で注意が必要なケース
アミラーゼ高値は、一時的な変動や膵臓以外の原因でみられることもあります。 一方で、膵臓由来のアミラーゼ上昇が疑われる場合や、症状・画像検査の異常を伴う場合には、詳しい確認が必要になることがあります。
特に注意したいアミラーゼ高値
✔ アミラーゼ分画やリパーゼで、膵臓由来の上昇が疑われる
✔ 腹痛、みぞおちの痛み、背中の痛み、吐き気などの症状がある
✔ アミラーゼ高値が一度だけでなく、繰り返し続いている
✔ 腹部エコー、CT、MRIなどで膵管拡張・膵嚢胞・膵腫瘤などを指摘されている
✔ 肝機能異常、CA19-9高値など、他の血液検査異常を伴っている
✔ 体重減少、黄疸、糖尿病の新規発症・悪化などがある
これらに当てはまる場合でも、必ずしも重大な病気があるとは限りません。 しかし、血液検査だけでは膵臓の状態を十分に判断できないことがあります。 症状の有無、数値の推移、アミラーゼ分画やリパーゼ、画像検査の結果を組み合わせて、原因を確認することが大切です。
当院でのアミラーゼ高値の確認方法
当院では、健診などでアミラーゼ高値を指摘されて受診された場合、まず本当に膵臓由来の上昇かどうかを確認することを大切にしています。
アミラーゼは膵臓だけでなく唾液腺からも分泌されるため、血清アミラーゼが高いという結果だけでは、膵臓の病気が原因とは判断できません。 そのため、必要に応じてアミラーゼ分画やリパーゼを測定し、膵臓由来の上昇かどうかを確認します。
アミラーゼ分画では、膵臓由来のP型アミラーゼと、唾液腺由来のS型アミラーゼの割合を確認します。 また、リパーゼはアミラーゼよりも膵臓との関連が比較的強い血液検査であり、膵臓の炎症や負担を評価する際に参考になります。
これらの検査で膵臓由来の上昇が疑われる場合や、腹痛・背中の痛みなどの症状を伴う場合、また膵管拡張や膵嚢胞などを指摘されている場合には、腹部エコー、MRI/MRCP、CT、必要に応じて超音波内視鏡(EUS)などの画像検査を組み合わせて確認します。
膵臓を詳しく調べる検査
アミラーゼ高値を指摘された場合、まずはアミラーゼ分画やリパーゼなどの血液検査で、膵臓由来の上昇かどうかを確認します。 そのうえで、膵臓由来の異常が疑われる場合や、腹痛・背中の痛みなどの症状がある場合、また腹部エコーなどで膵臓の異常を指摘されている場合には、画像検査で膵臓の状態を確認することが大切です。
膵臓は胃や腸の奥にある臓器であり、検査方法によって見え方や得意な評価項目が異なります。 ここでは、膵臓を詳しく調べる主な検査について解説します。
腹部エコー
腹部エコーは、体の外から超音波をあてて肝臓・胆のう・膵臓・腎臓などを確認する検査です。 体への負担が少なく、健診や初期評価でよく行われます。
一方で、膵臓は胃や腸の奥にある臓器であり、体型や腸管ガスの影響を受けやすいため、腹部エコーでは膵臓全体をくまなく観察できないことがあります。 特に膵尾部など一部の領域は見えにくく、腹部エコーだけでは膵臓の状態を十分に評価できない場合があります。
そのため、アミラーゼ高値が続く場合や、腹痛・背中の痛みなどの症状を伴う場合、また膵管拡張・膵嚢胞などを指摘されている場合には、CT、MRI/MRCP、超音波内視鏡(EUS)などを組み合わせて詳しく確認することがあります。
▶ 腹部エコーで膵臓が見えないと言われた方へ|原因とEUSによる精密検査を専門医が解説
CT・MRI/MRCP
CTやMRI/MRCPは、膵臓全体の形や膵管の状態、膵嚢胞、膵腫瘤の有無などを確認するために有用な検査です。 特にMRI/MRCPは、膵管や胆管の評価に適しており、膵管拡張や膵嚢胞・IPMNなどの確認に役立ちます。
アミラーゼ高値に加えて、膵管拡張、膵嚢胞、CA19-9高値、腹痛や背中の痛みなどがある場合には、CTやMRI/MRCPで膵臓の状態を確認することがあります。 ただし、小さな病変や膵管周囲の微細な変化は、CTやMRIだけでは判断が難しいこともあります。
そのような場合には、超音波内視鏡(EUS)を組み合わせて評価することで、より詳しく膵臓を確認できることがあります。
超音波内視鏡(EUS)
超音波内視鏡(EUS)は、胃カメラの先端に超音波装置がついた内視鏡を用いて、胃や十二指腸の中から膵臓を詳しく観察する検査です。 膵臓のすぐ近くから観察できるため、腹部エコーでは評価しにくい部位や、小さな膵腫瘤、膵管の変化、膵嚢胞・IPMNなどの確認に役立つことがあります。
一方で、EUSは通常の胃カメラとは異なり、膵臓の解剖や超音波画像の読み取りに関する専門的な知識が必要です。 また、膵臓を適切に描出し、病変の有無を判断するには、高度な技術と経験を要します。 そのため、EUSはすべての医療機関で一般的に行われている検査ではなく、実施できる施設や担当できる医師が限られることがあります。
アミラーゼ高値だけで、すぐに超音波内視鏡(EUS)が必要になるわけではありません。 しかし、膵臓由来のアミラーゼ上昇が疑われる場合、腹痛・背中の痛みを伴う場合、膵管拡張や膵嚢胞を指摘されている場合、CTやMRIで判断が難しい場合には、EUSによる詳しい評価を検討することがあります。
当院では、症状、血液検査、腹部エコー、CT、MRI/MRCPなどの結果を総合的に確認し、必要性を判断したうえで超音波内視鏡(EUS)を行っています。
当院でのアミラーゼ高値への対応
当院では、健診などでアミラーゼ高値を指摘されて受診された場合、まずアミラーゼ分画やリパーゼを測定し、膵臓由来の上昇が疑われるかどうかを確認します。
膵臓由来のアミラーゼ上昇が疑われる場合には、腹部MRI/MRCP検査で膵臓全体や膵管の状態を確認します。 MRI/MRCPでは、膵管拡張、膵嚢胞、IPMN、膵腫瘤の有無などを評価します。
MRI/MRCPで膵嚢胞や膵管拡張などの異常がみられる場合や、MRIだけでは判断が難しい場合には、必要に応じて超音波内視鏡(EUS)による詳しい評価を行います。
当院では「アミラーゼが高いからすぐにEUSを行う」のではなく、血液検査、症状、MRI/MRCPなどの画像検査の結果を総合的に判断し、必要な検査を選択しています。
当院での確認の流れ
① 健診結果・症状・これまでの検査結果を確認
② アミラーゼ分画・リパーゼで膵臓由来かを評価
③ 膵臓由来が疑われる場合は腹部MRI/MRCPで膵臓・膵管を確認
④ 膵嚢胞・膵管拡張などがみられる場合は、必要に応じてEUSを検討
⑤ 検査結果をもとに、経過観察または追加検査の方針を判断
アミラーゼ高値に関するよくある質問
Q. アミラーゼ高値は膵がんのサインですか?
アミラーゼ高値だけで膵がんを疑うわけではありません。 アミラーゼは膵臓以外に唾液腺などの影響でも上昇することがあります。 ただし、膵管拡張、膵嚢胞、CA19-9高値、体重減少、糖尿病の新規発症・悪化などを伴う場合には、膵臓の病気が隠れていないか確認が必要になることがあります。
Q. アミラーゼが少し高いだけでも受診した方がよいですか?
一度だけ軽度に高い場合は、一時的な変動や膵臓以外の原因でみられることもあります。 しかし、アミラーゼ高値が繰り返し続く場合や、腹痛・背中の痛みなどの症状を伴う場合には、原因を確認するために医療機関で相談することをおすすめします。
Q. アミラーゼ高値と言われたら、すぐにEUSが必要ですか?
アミラーゼ高値だけで、すぐに超音波内視鏡(EUS)が必要になるわけではありません。 まずはアミラーゼ分画やリパーゼなどで膵臓由来の上昇かどうかを確認し、必要に応じてMRI/MRCPなどの画像検査を行います。 膵管拡張や膵嚢胞などの異常がみられる場合には、EUSによる詳しい評価を検討します。
Q. アミラーゼ分画とは何ですか?
アミラーゼ分画とは、血液中のアミラーゼが膵臓由来なのか、唾液腺由来なのかを確認するための検査です。 膵臓由来のP型アミラーゼと、唾液腺由来のS型アミラーゼの割合を調べることで、アミラーゼ高値の原因を考える手がかりになります。
Q. 腹部エコーで異常がなければ安心ですか?
腹部エコーは体への負担が少ない有用な検査ですが、膵臓は胃や腸の奥にあるため、腹部エコーだけでは膵臓全体をくまなく評価できないことがあります。 アミラーゼ高値が続く場合や、症状・他の検査異常を伴う場合には、MRI/MRCPやCT、必要に応じてEUSなどを組み合わせて確認することがあります。
まとめ
アミラーゼ高値は、原因を見極めることが大切です
健診でアミラーゼ高値を指摘されても、それだけで膵臓の病気と判断することはできません。 アミラーゼは膵臓だけでなく唾液腺などからも分泌されるため、膵臓以外の原因で高くなることもあります。
まずはアミラーゼ分画やリパーゼなどで、膵臓由来の上昇かどうかを確認することが重要です。 膵臓由来が疑われる場合や、腹痛・背中の痛み、膵管拡張、膵嚢胞などを伴う場合には、MRI/MRCPや超音波内視鏡(EUS)などによる詳しい評価を検討します。
アミラーゼ高値が続く場合や、他の検査異常・症状を伴う場合には、自己判断せず医療機関で原因を確認することが大切です。
健診でアミラーゼ高値を指摘され、
膵臓の病気が心配な方へ
アミラーゼ高値は、膵臓の病気でみられることもありますが、唾液腺由来や体質的な要因など、膵臓以外の原因で上昇することもあります。 まずはアミラーゼ分画やリパーゼなどで、膵臓由来の上昇かどうかを確認することが大切です。
膵臓由来のアミラーゼ上昇が疑われる場合には、腹部MRI/MRCPで膵臓全体や膵管の状態を確認します。 そのうえで、膵嚢胞・膵管拡張などの異常がみられる場合や、MRIだけでは判断が難しい場合には、必要に応じて超音波内視鏡(EUS)による詳しい評価を検討します。
当院では、検査結果・症状・画像所見を総合的に確認し、必要な検査を段階的に判断しています。