内視鏡医が語る “膵臓を守るためのヒント”|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

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内視鏡医が語る “膵臓を守るためのヒント”

内視鏡医が語る “膵臓を守るためのヒント”|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

2025年11月15日

はじめに

膵臓(すいぞう)は、「消化」と「血糖コントロール」という、人が生きるうえで極めて重要な働きを担う臓器です。
ところが膵臓は体の奥にあり、病気が進んでも症状がほとんど出ない“沈黙の臓器”でもあります。

日々の生活のちょっとした習慣や検査の選び方で、膵臓の健康を大きく守ることができます。
今回は内視鏡医の視点から、膵臓を守るためのヒントをご紹介します。

ヒント①「アルコール」と「喫煙」を見直す

膵臓を守るうえで避けて通れない話題が、お酒とタバコです。

■ アルコール
アルコールは膵炎(急性膵炎・慢性膵炎)の大きな原因の一つです。
膵炎が続くと膵臓の組織が破壊され、


 ・膵臓の消化機能が落ちる
 ・糖尿病になりやすくなる
 ・さらには膵がんリスクが上がる

といった影響が生じます。
「飲むなら適量」を心がけ、中でも連日の飲酒を避けることが膵臓の負担軽減につながります。ちなみに“適量”とは、1日の純アルコール量20g未満が目安です。これは厚生労働省や多くの専門学会が示している基準です。
「純アルコール20g」は、一般的なお酒に置き換えると次の量です👇

※体格・体質によって異なり、あくまで一般的目安です。

■ 喫煙

タバコは、膵がんの明確なリスク因子として知られています。
喫煙者は非喫煙者と比べて、膵がんの発症リスクが約2倍に上昇すると報告されています。

禁煙をするとリスクは徐々に低下していきますが、非喫煙者と同じレベルまで下がるには約20年かかるとも言われています。

それでも禁煙を始めた時点から確実にリスクは下がり始めるため、膵臓を守るためには 禁煙が最も効果的な予防策の一つです。

1日でも早い禁煙が、将来の膵臓を守ることにつながります。

ヒント② 体重を適正にする

肥満が続くと、肝臓に脂肪が溜まる「脂肪肝」と同じように、膵臓にも脂肪が沈着する=“脂肪膵(fatty pancreas)” という状態が起こります。
脂肪膵は近年増加しており、以下の問題と関連します:


 ・膵臓の炎症が起こりやすくなる
 ・糖尿病になりやすい
 ・膵臓の酵素の働きが弱くなる(膵外分泌機能低下)
 ・膵がんのリスク上昇と関連している可能性 

*脂肪膵と糖尿病、膵がんの関係についてもっと知りたい方はこちら👉https://miyuki-cl.com/column/脂肪膵とは?糖尿病と膵がんとの関係を分かりや/


肥満を改善することにより、膵臓を守り、膵がんのリスクを下げられる可能性があります。そのためには、

✔️5%の体重減少でも効果十分

まずは体重をわずか 5%減らすことを目標にしましょう(例:70kgの人なら、3.5kgの減量でOK)。これにより、膵臓の負担は大きく軽減 します。

✔️内臓脂肪を減らすことが特に重要

ウォーキング・食事管理・筋トレなどで内臓脂肪を落とすと、インスリン抵抗性が改善し、膵臓の負担も軽くなります。

✔️アルコール・喫煙を避ける

肥満に加えて、
 ・飲酒
 ・喫煙
が重なると、膵炎・膵がんのリスクがさらに高くなる“最悪の組み合わせ” です。可能な限り控える・禁煙することが肝心です。

ヒント③ 「突然の血糖値の変化」に気づく

膵臓はインスリンなどのホルモンを分泌し、血糖値を調整しています。
そのため、


 ・急に血糖値が上がった
 ・急に糖尿病になったと言われた
 ・これまで安定していたHbA1cが悪化した

といった場合、膵臓の病気が隠れていることがあります。
特に注意が必要なのが、膵がんが血糖値の急上昇で見つかるケースが一定数あることです。
血糖値の急な変動は、単なる生活習慣の問題ではなく、“膵臓からのサイン”である可能性もあります。
気になる変化があれば、早めに専門医へご相談ください。

ヒント④「血液検査だけに頼らず、画像検査を組み合わせる」

多くの方が、健康診断の血液検査で「異常なし」と言われると安心しますが、実は 膵臓の病気は血液検査だけでは見つからないことが多い臓器です。(*関連コラムはこちら👉https://miyuki-cl.com/column/血液検査だけではわからない?膵臓の隠れ病変/
膵臓の“隠れ病変”を見逃さないために重要なのは、画像検査(MRI・MRCP・超音波内視鏡;EUS)です。


■ MRI/MRCP
膵のう胞(IPMNなど)の評価
膵管の拡張
小さな構造の変化
などをチェックできます。


■ 超音波内視鏡(EUS)
胃や十二指腸の中から膵臓を近距離で観察でき、数mmの小さな腫瘍や早期変化も描出可能な精密検査です。
膵臓のチェックとして最も感度が高い検査の一つです。

*超音波内視鏡(EUS)とMRI、CTについて詳しく知りたい方はこちら👉https://miyuki-cl.com/column/超音波内視鏡(eus)とは?mriやctと何が違うの?/

🧭 まとめ

膵臓の病気は、症状が出にくく、気づいたときには進んでいることも少なくありません。
だからこそ、


 ✔️アルコールと喫煙の見直し
 ✔️血糖値の変化に注意
 ✔️血液検査+画像検査での定期チェック

が膵臓を守る大切なポイントになります。

最後にひとこと

膵臓は私たちの体を支える“縁の下の力持ち”。
症状がなくても、リスクが高い方は定期的な膵臓画像検査を受けることで、早期発見につながります。

当院では、MRIと超音波内視鏡(EUS)を組み合わせた膵臓ドックを行っており、小さな異常も丁寧に評価しています。 (当院でのMRIと超音波内視鏡(EUS)による”精密膵がんドック”はこちら👉https://miyuki-cl.com/medical/medical03/
膵臓の健康が気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。

参考文献

膵癌診療ガイドライン改訂委員会編.膵癌診療ガイドライン2022年版.金原出版.

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