3mmの微小胃がんを胃カメラで発見|ピロリ菌未感染胃がんの一例|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

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3mmの微小胃がんを胃カメラで発見|ピロリ菌未感染胃がんの一例

3mmの微小胃がんを胃カメラで発見|ピロリ菌未感染胃がんの一例|みゆき消化器内視鏡クリニック|多摩市永山の消化器内科・内視鏡検査

2023年11月30日

胃カメラで発見された、3mmの微小胃がんの症例をご紹介します。
微小胃がんとは、一般的に5mm以下の非常に小さな胃がんのことです。
小さい胃がんは症状がないことも多く、胃カメラで偶然発見されることがあります。

症例

症例は50代の男性です。
以前より胃の粘膜下腫瘍を指摘されており、経過観察のため、当院で初めて胃カメラを受けられました。
なお、ピロリ菌の感染歴はありませんでした。

下の胃カメラの写真で、胃がんはどこにあるでしょうか。

胃カメラで認めた3mmの微小胃がんの内視鏡画像
矢印で示した胃カメラで発見された3mmの微小胃がんの内視鏡画像
矢印で示した部分に、3mm程度の微小胃がんを認めます。周囲よりわずかに白っぽく見える小さな病変です。

胃粘膜下腫瘍のすぐ近くに、色があせた部位(褪色域)があります。大きさは3mm程度です。

通常光の胃カメラで確認した3mmの微小胃がんの内視鏡画像

通常光の胃カメラ画像です。3mm程度の非常に小さな胃がんで、わずかな色調の変化として認められます。

<NBI強調画像>

NBIで観察した胃カメラで発見された3mmの微小胃がんの内視鏡画像
NBIで観察した内視鏡画像です。通常光ではわかりにくい、微小胃がんのわずかな粘膜変化を確認しやすくなります。

病変の一部を採取する検査、いわゆる生検を行ったところ、印環細胞がんというタイプの胃がんと診断されました。

その後、他院で内視鏡治療を行っていただきました。
切除した標本の中には明らかながんは認められず、生検によって非常に小さながんが取り切れた可能性が考えられました。

なお、同時に切除された胃粘膜下腫瘍は、脂肪腫という良性の腫瘍でした。

この症例のポイント

今回の症例には、以下の3つの重要なポイントがあります。

  1. 微小胃がん
  2. ピロリ菌未感染胃がん
  3. 印環細胞がん

1. 微小胃がんとは

微小胃がんとは、一般的に大きさが5mm以下の胃がんを指します。
今回の胃がんは約3mmで、非常に小さな段階で発見された胃がんでした。

胃がんは、小さい段階で発見できれば、内視鏡で治療できる可能性があります。
そのため、患者さんの体への負担を少なくできることがあります。

一方で、胃がんは小さいほど発見が難しくなります。
特に今回のように、わずかに色が変わっているだけの病変は、丁寧な観察が重要です。

2. ピロリ菌未感染胃がんとは

ピロリ菌は、胃がんの原因として最も重要です。

日本においては、胃がんの約99%はピロリ菌が関係しているとされています。

逆にピロリ菌が関係していない胃がん(ピロリ菌未感染胃がん)の頻度は、胃がん全体の約1%未満と非常にまれです。

ピロリ菌未感染とは、一度もピロリ菌に感染したことがない状態を指し、除菌治療によりピロリ菌が消えた場合は含まれません。

ピロリ菌未感染の胃は、炎症のないキレイな胃で、胃がんの心配はほとんどありません(胃がんのほとんどは、ピロリ菌による慢性胃炎から発生します)。

しかし日本においては、ピロリ菌感染率の低下にともない、ピロリ菌未感染の胃がんが注目されるようになっています。

ピロリ菌未感染胃がん

ピロリ菌に感染したことがない胃にも、まれに胃がんが発生することがあります。 代表的なものとして、以下のようなタイプが知られています。

1. 胃底腺型胃がん

2. 胃底腺粘膜型胃がん

3. ラズベリー様胃腫瘍・がん

4. 印環細胞がん (未分化型がん)

ちなみに印環細胞がん以外のがん(腫瘍)は、2000年以降に発見・命名された新しい疾患です。

繰り返しになりますが、ピロリ菌未感染胃がんに遭遇するのはまれです。

しかもピロリ未感染胃がんの知識がないと、見逃してしまう可能性もあります。

そのため内視鏡医は、ピロリ菌に感染していない胃にできるがんの特徴をよく理解して、胃カメラをおこなう必要があります。

3. 未分化型胃がんとは

胃がんの組織分類

胃がんは、顕微鏡で見たがん細胞の特徴により、大きく 分化型がん未分化型がんに分けられます。

分化型がん

a. 乳頭腺がん

b. 管状腺がん (高分化・中分化)

未分化型がん

c. 低分化腺がん

d. 印環細胞がん

※ 今回の症例で診断された印環細胞がんは、未分化型がんに分類されます。

ここで分化度とは、がん組織がどのくらい元の正常組織と似ているか、その度合いを示す用語です。

高分化 → 中分化 → 低分化、と分化度が下がるにつれて、がん組織は正常組織とかけ離れた見え方になります(がんの悪性度が高くなります)。

未分化型胃がんには、低分化型腺がんと印環細胞がんがありますが、分化型胃がんにくらべて悪性度が高いとされています。

しかしピロリ菌未感染胃に発生する印環細胞がん(本症例)は、比較的おとなしいと考えられています。

ただし手術を必要とするような、進行したピロリ菌未感染印環細胞がんの報告もあり、できるだけ小さい段階で発見する必要があるのは、言うまでもありません。

まとめ

今回は、胃カメラで発見された3mmの微小胃がんの症例をご紹介しました。

微小胃がんは非常に小さいため、自覚症状がないことも多く、通常の生活の中で気づくことは困難です。 また、今回のようにピロリ菌に感染していない胃にも、まれに胃がんが発生することがあります。

胃カメラでは、わずかな色の変化や粘膜の違いを丁寧に観察することが重要です。 小さい段階で胃がんを発見できれば、内視鏡治療につながる可能性があります。

症状がない場合でも、必要に応じて胃カメラを受けることが、胃がんの早期発見につながります。

今回ご紹介したような微小胃がんは、症状がない段階で見つかることがあります。 実際に、多摩市胃がん検診の胃内視鏡検査で発見された微小胃がんの症例についても、別の記事で紹介しています。

関連記事: 多摩市胃がん検診で発見された微小胃がんの一例

参考文献

高橋 寛ほか.Gastroenterological Endoscopy 2011; 53:1229-40.

山本 頼正ほか.Gastroenterological Endoscopy 2016; 58: 1492-1503.

藤崎 順子ほか.Gastroenterological Endoscopy 2018; 1450-63.

野中 康一ほか.上部・下部消化管内視鏡診断㊙︎ノート 2.医学書院, 2018.

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