2023年8月26日
嚢胞(のうほう)とは、水風船のような液体の入った袋状のものの総称です。

お腹の嚢胞では、
・肝嚢胞
・腎嚢胞
などがよく知られており、腹部エコーなどで指摘されたことのある方も多いと思います。
肝臓や腎臓の嚢胞の多くは腫瘍ではなく、特別な場合を除いて精密検査や治療は不要です。
しかし、膵臓の嚢胞(膵嚢胞)は少し事情が異なります。
膵嚢胞は珍しいものではありません
近年、健診や人間ドックなどの普及により、膵嚢胞が偶然、見つかる機会が増えています。
それでは膵嚢胞は、肝臓や腎臓の嚢胞と同じように、精密検査や治療は不要でしょうか?
答えは、NOです。
膵嚢胞で注意が必要な理由
その理由は、主に3つあります。
① 膵嚢胞には様々な病気が含まれる
膵臓に嚢胞ができる病気は1つではありません(下表参照)

そのため膵臓に嚢胞(液体成分)を認める疾患をまとめて
膵嚢胞性疾患
と呼びます。
② 腫瘍性の嚢胞がある
膵嚢胞性疾患は
-
腫瘍性
-
非腫瘍性
に分けられます。
このうち腫瘍性の嚢胞には、将来悪性化する可能性のあるものがあります。
③ 膵がんと関連するものがある
膵嚢胞性疾患の一部は
膵臓がんと関連していることが知られています。
以上の理由から、膵臓に嚢胞が見つかった場合、まずその嚢胞がどんな種類の嚢胞かを診断する必要があります。
そしてその診断に応じて、経過観察または治療することになります。
それぞれの膵嚢胞性疾患については、別コラムで説明しますのでご参照ください。
関連コラム
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)
膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)
膵充実性偽乳頭腫瘍(SPN)
膵神経内分泌腫瘍
<嚢胞化した膵神経内分泌腫瘍(超音波内視鏡検査EUS)>

(Tsujino T et al. DDW2016)
膵嚢胞の多くはIPMNです
膵嚢胞の中で最も多いものは
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
と呼ばれる病気です。
IPMNは比較的ゆっくり進行する腫瘍ですが、
一部は膵がんへ進行する可能性があります。
そのため
などを評価しながら定期的に経過観察を行います。

IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)は、主膵管型と分枝型に分けられます。主膵管型はがん化リスクが高く、分枝型は比較的ゆっくり経過しますが、定期的な経過観察が重要です。
関連コラム
膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)
膵嚢胞の評価に重要な検査
膵嚢胞の評価には
-
MRI(MRCP)
-
超音波内視鏡(EUS)
などの画像検査が重要です。
特に超音波内視鏡(EUS)は、胃や十二指腸から膵臓を近い距離で観察できるため、
✓ 小さな腫瘍
✓ 壁在結節
などを詳しく評価することができます。
👉 膵臓を詳しく観察できる検査「超音波内視鏡(EUS)」はこちら
膵嚢胞を指摘された方へ
膵嚢胞の多くは、すぐに手術が必要になるわけではありません。
しかし一部には
膵がんへ進行する可能性のある病変
もあるため、
✓ 正確な診断
✓ 適切な経過観察
が重要になります。
健診などで膵嚢胞を指摘された場合は、専門医にご相談ください。
当院の膵臓精密検査
当院では
-
MRI
-
超音波内視鏡(EUS)
を組み合わせた膵臓の精密検査(膵がんドック)を行っています。
膵嚢胞やIPMNを指摘された方、膵臓が心配な方はご相談ください。
👉 膵臓を詳しく調べる「膵がんドック」についてはこちら
👉 膵臓を詳しく観察できる検査「超音波内視鏡(EUS)」はこちら