2023年3月11日
「皮膚や白目が黄色い」「尿が濃くなった」などの症状は、閉塞性黄疸の可能性があります。 これは胆汁の通り道(胆管)がつまることで起こる状態で、膵がん・胆管がん・胆石などが原因となることがあります。
特に膵がんでは、比較的早い段階で黄疸が出ることがあり、重要なサインのひとつです。
本記事では、閉塞性黄疸の仕組み・原因・受診の目安について、専門医の視点からわかりやすく解説します。
まずは、正常な胆汁の流れから確認していきましょう。
胆汁の流れ
胆汁は黄褐色の消化液で、肝臓で1日に約1リットルの胆汁がつくられます。ちなみに便の色が茶色いのは、この胆汁のためです。
肝臓でつくられた後の胆汁の流れとしては、次のようになります。
胆汁は肝臓でつくられ、胆のうにたまった後、総胆管を通って十二指腸へ流れます。
- 肝臓内の胆管を通って、胆汁は肝臓の外に出ます。
- 肝臓の外に出た胆汁は、胆のう管を通って胆のうの中にためられます。胆のうの中では、胆汁が濃縮されます。
- 食事をとると、胆のうがしぼんで胆汁を胆管に押し出します。
- 胆汁はふたたび胆管(総胆管)を通って十二指腸に流れ出ます。そして、食べ物の消化を助けます。
それでは、膵がんではなぜ黄疸になるのでしょうか?
それは、胆汁の通り道である総胆管が狭くなったり詰まったりして、④の流れが妨げられるためです。
膵がんによる閉塞性黄疸
上の図の④の部分にあたる胆管(総胆管)は、十二指腸の手前で膵臓の頭の部分(膵頭部)を通ります。
膵頭部の腫瘍が総胆管を圧迫すると、胆汁の流れが妨げられます。
膵頭部にがんができると、この総胆管を圧迫・閉塞し、胆汁の流れが悪くなります。
一方で、肝臓では胆汁が作られ続けているため、行き場を失った胆汁が胆管の中にたまり、やがて血液中に逆流します。
その結果、胆汁に含まれる成分が全身に回り、皮膚や白目が黄色くなる「黄疸」として現れます。
まとめ:
膵がんによる閉塞性黄疸とは、膵頭部の腫瘍が総胆管をふさぐことで胆汁の流れが障害され、血液中に胆汁が逆流することで起こる状態です。
このような変化は外からは見えないため、必要に応じて画像検査で評価することが重要です。
閉塞性黄疸の症状
閉塞性黄疸では、胆汁の流れが妨げられることで、次のような症状がみられます。
次のような症状はありませんか?
- ☑️ 尿の色が濃くなっている(紅茶のような色)
- ☑️ 便の色が薄くなっている(白っぽい便)
- ☑️ 皮膚や白目が黄色く見える
- ☑️ 体がかゆい
これらの症状に心当たりがある場合、閉塞性黄疸の可能性があります。
この中で、最初に気づかれることが多いのは「尿の色の変化」です。
血液中に逆流した胆汁は腎臓でろ過され、尿として排出されるため、尿が紅茶のように濃い色になります。
胆汁が腸に流れなくなると便は白くなり、血液中に増えた胆汁は尿として排出されます。
実際には、体が黄色くなる前から尿の変化が現れることが多いとされています。
一方で、胆汁が十二指腸に流れなくなるため、便の色は薄くなります。
また、「黄疸=体が黄色くなる」というイメージがありますが、日本人では気づきにくいことも少なくありません。
特に室内では分かりにくく、周囲から指摘される頃には、すでに黄疸が進行している可能性もあります。
重要なポイント:
「体が黄色くないから大丈夫」とは言えません。
尿の色の変化が、最も早いサインとなることがあります。
では、このような症状があった場合、どのように考えればよいのでしょうか。
このような変化は外からは見えにくいため、気になる場合は画像検査で原因を確認することが重要です。
このような症状があれば受診を検討しましょう
次のような症状がある場合、閉塞性黄疸の可能性があります。
- 尿の色が濃くなっている(紅茶のような色)
- 白目の部分が黄色く見える
これらの症状を認めた場合には、早めに医療機関での評価が検討されます。
特に尿の色の変化は、体が黄色くなる前から現れることがあるため、重要なサインの一つです。
補足:柑皮症との違い
みかんなどを多く食べると手足が黄色くなることがあります(柑皮症)。
しかし、
- 尿の色は変わらない
- 白目は黄色くならない
ため、閉塞性黄疸とは区別されます。
これらの症状は、膵がんだけでなく胆石や胆管の病気でもみられるため、原因を見極めることが重要です。
症状だけで判断することは難しいため、必要に応じて画像検査(MRIや超音波内視鏡など)が検討されます。
では、これらの症状がある場合、どのような検査を行うのでしょうか。
閉塞性黄疸が疑われる場合の検査
尿の色の変化や白目の黄ばみなど、閉塞性黄疸が疑われる場合には、原因を特定するための画像検査が重要になります。
閉塞性黄疸の原因は、膵がん・胆管がん・胆石など様々であり、症状だけで区別することは困難です。
主な検査方法
- 腹部エコー(超音波検査)
- CT検査
- MRI(MRCP)
- 超音波内視鏡(EUS)
まずは腹部エコーやCTなどで胆管の拡張や腫瘍の有無を確認します。
一方で、膵臓は体の奥にあるため、小さな病変はこれらの検査では見つかりにくいことがあります。
より詳しい評価が必要な場合には
膵臓や胆管を近くから観察できる
超音波内視鏡(EUS) が検討されます。
超音波内視鏡(EUS)は、内視鏡の先端についた超音波で膵臓をすぐ近くから観察する検査で、 小さな膵がんや胆管周囲の異常を詳しく評価できるのが特徴です。
特に、「原因がはっきりしない黄疸」や「膵頭部の異常が疑われる場合」には、重要な検査となります。
どの検査を選択するかは、症状や画像所見に応じて総合的に判断されます。
「念のため詳しく調べておきたい」と感じた場合には、一度専門医に相談してみてもよいかもしれません。
尿の色が濃い・白目が黄色いと感じた方へ
尿の色が濃くなった、白目が黄色く見える、
体がかゆいといった症状がある場合には、黄疸の可能性があります。
黄疸の原因は、膵がんだけでなく、胆石や胆管の病気などさまざまです。
症状だけで判断することは難しいため、必要に応じて画像検査で原因を確認します。
当院では、保険診療で腹部エコー・胃カメラ・超音波内視鏡(EUS)などを組み合わせ、
膵臓や胆管を詳しく評価しています。
超音波内視鏡(EUS)年間430件(2025年)・累計2000件の検査実績(2026年2月時点)をもとに診療を行っています。