みゆきクリニック

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院長コラム

COLUMN

院長共著の論文が、Journal of Gastroenterology and Hepatologyに掲載されました

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 私が留学していたカルフォルニア大学アーバイン(UCI)メディカルセンターの論文、”Endoscopic ultrasound-guided portal pressure gradient with liver biopsy: 6 years of endo-hepatology in practice(超音波内視鏡ガイド下門脈圧格差測定と肝生検:内視鏡肝臓病学6年間の実際)”が、Journal of Gastroenterology and Hepatologyに掲載されました。

 門脈とは、肝臓に流れこむ大事な血管で、腸から栄養素を肝臓に運びこんでいます。肝硬変などで肝臓が硬くなるにつれて、門脈の圧が高くなります(“門脈圧亢進症”)。門脈圧亢進症は、さまざまな重い合併症(食道胃静脈瘤、意識障害、腹水など)を引き起こす危険性があります。こうした合併症の発症を予測するうえで、門脈圧格差(門脈圧と肝静脈圧の差)が有用とされています。しかし門脈圧格差を簡単に測定する方法は、これまでありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 2014年(私が渡米した年です)、超音波内視鏡(EUS)を用いて門脈圧格差を測定するという画期的なプロジェクトが、UCIで立ち上がりました。EUSでは、胃や十二指腸の中から門脈と肝静脈を容易に観察できます。EUSガイド下門脈圧格差測定は、それぞれの血管を超音波で見ながら針で刺して、針に付けた小さなマノメーター(圧測定器)で圧を測定する手技です。EUSに精通していれば、手技自体は簡単です。使用する針もとても細いので、出血の心配もほとんどありません。またこの手技は、圧測定と同時に肝生検(肝臓の組織を採取する)をおこなえるという利点もあります。

 

 今回、私たちは、UCIでEUSガイド下門脈圧格差測定をおこなった症例を対象として、手技の有用性と安全性についての論文を発表しました。

 

 論文の要旨は、以下のとおりです。

  • 2014年2月から2020年3月までの間に、UCIにおいてEUSガイド下門脈圧格差測定をおこなった83例を対象とした。
  • 門脈圧格差測定の手技は、全例で成功した。
  • 門脈圧格差は、門脈圧亢進症の臨床パラメータ(肝硬変、食道・胃静脈瘤、血小板数減少)とよく相関した。
  • 門脈圧格差測定と同時に、71例で肝生検をおこなった。このうち70例(98.6%)は、病理学的診断をするうえで適切な検体であった。
  • 結論:EUSガイド下門脈圧格差測定と肝生検は、同じセッションで安全に行うことができ、慢性肝疾患の患者に対して総合的な内視鏡的な評価を提供しうる。

現在のところ、日本ではこの手技はおこなわれていません。今回の報告はUCI単施設からのものであり、今後、他の施設でもその有用性や安全性が確認できれば、日本でもおこなわれるようになるかもしれません。

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