消化器内科・内視鏡科
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院長コラム
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メタボ(メタボリックシンドロームの通称)とは、内臓肥満(内臓に脂肪がたまる)に脂質異常、高血糖、高血圧が合わさった状態をいいます。
日本においても、栄養過多に加えて運動不足もあり、メタボの人が増えていることが社会的な問題になっています。
メタボを放置しておくと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす危険性があります。
また近年、メタボと各種がんの関係性が注目されています。
たとえば、メタボがあると肝がんと大腸がんの発症リスクが上がることが指摘されています。
メタボと膵がんの関係性については、昨年、興味深い論文(Park JH, et al. Gastroenterology. 2022;162:509-520.e7)が発表されました。
本論文の概要は、以下の通りです。
<論文の概要>
・韓国において、約820万人(!)を対象にして行われた試験です。
・メタボの有無と膵がん発症のリスクについて検討しました。
・この試験の肝(きも)となる部分なのですが、被験者をある期間フォローしていて、その期間中に、
①メタボのない群(メタボなし群)
②新たにメタボになった群(新規メタボ群)
③メタボが改善した群(メタボ改善群)
④メタボのままの群(メタボ持続群)
の4群に分けて膵がんのリスクを比較しています。
その結果は、
・メタボがある(あった)3群の膵がんのリスクは、メタボなし群と比べて有意に高値でした。
・メタボ改善群は、メタボ持続群に比べて膵がんのリスクが有意に低値でした。
以上から、
と結論づけられます。
本論文の結果は統計学的には有意差があるものの、メタボ群での膵がん発症リスクはそれほど大きな数字ではありません。
ただ自分の努力次第(メタボの改善)で、膵がんのリスクを少しでも下げられるかもしれない、というのはインパクトのあるメッセージです。
脳梗塞や心筋梗塞の予防、そしてがんのリスクを少しでも減らすためにも、腰回りを1cmでも減らせるよう心がけたいものです。