消化器内科・内視鏡科
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院長コラム
COLUMN
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腹部超音波(エコー)検査は、おなかの上から超音波をあてて肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などを観察する画像検査です。
その利点としては、
などが挙げられます。
また腹部エコー検査は、医師だけでなく、臨床検査技師が行っており、1日で数多くの検査を行うことができます。
そのため人間ドックや健診でも腹部エコー検査が行われています。
その一方で、腹部エコー検査の欠点としては、
超音波と見たい臓器の間に、脂肪(皮下脂肪、内臓脂肪)やガス(胃や腸)があると、十分に観察できない、
ことです。
とくに膵臓は、胃の裏側(背中側)に位置しているため、おなかの上からエコーをあてて膵臓を見ようとすると、皮下脂肪・胃や腸のガス・内臓脂肪が観察の妨げになることがあります。
それでも、検査を受ける方の体の位置をかえながら、根気よく時間をかけて観察すれば、膵臓が見える場合があります。
また事前にミルクティーを飲んでもらうと、膵臓がより見えるようになることがあります。
ただ検査時間が限られている人間ドックや健診では、時間をかけて膵臓全体を観察できないのが現状でしょう。
すなわち腹部エコー検査を受けても、膵臓がよく見えないことがあります(検査結果に、「膵臓描出不良」とか「膵臓描出困難」、と書かれることが多いです)。
一方、超音波内視鏡は、先端に超音波がついた内視鏡を口から入れ、胃や十二指腸の壁に超音波を当てて、すぐ近くにある膵臓を観察する検査です。
そのため超音波内視鏡検査では、ガスや脂肪の影響を受けることが少なく、膵臓全体をキレイに観察できます。
また超音波内視鏡検査は、膵臓の小さな病変の描出にすぐれ、CTやMRIで見つからないような膵臓の小さな腫瘍でも見つけることが可能です。
当院での超音波内視鏡検査の例をご紹介します。
<30代女性>
人間ドックの腹部エコーで「膵臓描出不良」と書かれていたため、当院で膵がんドックを受けられました。
超音波内視鏡検査では、膵臓の頭の部分(膵頭部)から尻尾の部分(膵尾部)まで全てキレイに観察できました。
<60代男性>
腹部エコーで10mmの胆嚢ポリープを指摘されたため、超音波内視鏡検査を行いました。
腹部エコーでは膵臓の異常は指摘されませんでしたが…
超音波内視鏡では、膵臓の頭の部分(膵頭部)に16mmののう胞性病変を認め、分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と診断しました。
分枝型IPMNは膵癌の危険因子ですが、超音波内視鏡をすることで発見でき、その後は定期的にフォローとなりました。
このように、超音波内視鏡検査は、とても有用な膵臓の画像検査です。
しかし一方で次のような欠点もあります。
超音波内視鏡検査は、文字通り内視鏡検査ですので、まず内視鏡を口から入れる必要があります。
しかも超音波内視鏡は、通常の胃カメラよりも太いです。
ただし鎮静剤をしっかり使用しますので、ほぼ寝ている状態で検査を受けることができます。
また超音波内視鏡検査できちんと膵臓を観察するためには、手技の熟練を要します。
胃カメラや大腸カメラと違って、超音波内視鏡をマスターしている医師が少ないのが現状です。
そのため当院にも、東京23区や東京都外から超音波内視鏡検査に受けに来院される方がいます。
腹部エコー検査で膵臓が見えない全ての方が、超音波内視鏡検査を受ける必要はありません。
しかし何らかの膵癌の危険因子があり、かつ腹部エコーで膵臓が見えない方は、超音波内視鏡検査を検討されてもいいかもしれません。