消化器内科・内視鏡科
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院長コラム
COLUMN
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閉塞性黄疸とは、胆汁が流れている胆管がつまる(閉塞する)ことにより起きる黄疸です。
閉塞性黄疸は、膵がんの症状としてとても重要です。
本コラムでは、その閉塞性黄疸について解説します。
閉塞性黄疸を理解するには、通常の胆汁の流れを知る必要があります。
<胆汁の流れ>
胆汁は黄褐色の消化液で、肝臓で1日に約1リットルの胆汁がつくられます。ちなみに便の色が茶色いのは、この胆汁のためです。
肝臓でつくられた後の胆汁の流れとしては、
① 肝臓内の胆管を通って肝臓の外に出ます。
② 肝臓の外に出た胆汁は、胆のう管を通って胆のうの中にためられます。胆嚢の中では、胆汁が濃縮されます。
③ 食事をとると、胆のうがしぼんで胆汁を胆管に押し出します。
④ 胆汁はふたたび胆管(総胆管)を通って、十二指腸に流れ出ます。そして食物の消化の手助けをします。
それでは、膵がんではなぜ黄疸になるのでしょうか?
それは胆汁の流れの④のところでトラブルになるからです。
<膵がんによる閉塞性黄疸>
上の絵の④のところの胆管(総胆管)は、十二指腸の手前で膵臓の頭の部分(膵頭部)を通ります。
膵頭部に癌ができると、総胆管をふさいでしまい胆汁の流れが悪くなります。
その一方で、肝臓では胆汁が作られ続けていますので、胆管の中に行き場を失った胆汁がたまり、最終的には胆管から胆汁があふれて血液に逆流します。
そして血液と共に過剰な胆汁が全身に回るため、体が黄色くなります(黄疸)。
すなわち膵がんよる閉塞性黄疸とは、膵頭部のがんにより胆管がつまる(閉塞)ことで起きる黄疸です。
<閉塞性黄疸の症状>
閉塞性黄疸の症状としては、
① 尿の色が濃くなる
② 便の色が薄くなる
③ 皮膚が黄色くなる
④ 体がかゆくなる
などがあります。
この中で患者さんが最初に気づくのは、尿の色の変化です。紅茶のような濃い色になります。
こうなる理由は、血液に逆流した胆汁が腎臓で濾過(ろか)されて、尿に出てくるからです。
体が黄色いのに気づく前から、尿の色の変化がおきるとされています。
一方で、胆汁は十二指腸に流れなくなるため、便の色は薄くなります。
黄疸というと「体が黄色くなる」というイメージを持たれると思います。
しかし黄色人種に分類されている日本人ではそれに気づきにくいです。
特に室内(診察室も含めて)では一見して分かりにくく、自分や周りの人が体が黄色いのに気づいた時には、かなり黄疸が進んでいる可能性があります。
ただ、早い段階で黄疸に気がつく症状があります。
<こんな症状があれば黄疸かも>
この2つを認めた場合には、黄疸の可能性がありますので、早めに医療機関を受診しましょう。
ちなみに、みかん🍊を食べすぎると手足が黄色くなることがあります。これは「柑皮症」と言って、黄疸とは異なります。
黄疸との区別の方法としては、先ほどの「尿の色」と「白目の色」です。
柑皮症では、尿の色に変化はありませんし、白目の部分も黄色くなりません。