消化器内科・内視鏡科
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院長コラム
COLUMN
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私が留学していたカルフォルニア大学アーバイン(UCI)メディカルセンターの論文、”Endoscopic ultrasound-guided portal pressure gradient with liver biopsy: 6 years of endo-hepatology in practice(超音波内視鏡ガイド下門脈圧格差測定と肝生検:内視鏡肝臓病学6年間の実際)”が、Journal of Gastroenterology and Hepatologyに掲載されました。
門脈とは、肝臓に流れこむ大事な血管で、腸から栄養素を肝臓に運びこんでいます。
肝硬変などで肝臓が硬くなるにつれて、門脈の圧が高くなります(“門脈圧亢進症”)。
門脈圧亢進症は、さまざまな重い合併症(食道胃静脈瘤、意識障害、腹水など)を引き起こす危険性があります。
こうした合併症の発症を予測するうえで、門脈圧格差(門脈圧と肝静脈圧の差)が有用とされています。
しかし門脈圧格差を簡単に測定する方法は、これまでありませんでした。
2014年(私が渡米した年です)、超音波内視鏡(EUS)を用いて門脈圧格差を測定するという画期的なプロジェクトが、UCIで立ち上がりました。
EUSでは、胃や十二指腸の中から門脈と肝静脈を容易に観察できます。
EUSガイド下門脈圧格差測定は、それぞれの血管を超音波で見ながら針で刺して、針に付けた小さなマノメーター(圧測定器)で圧を測定する手技です。
EUSに精通していれば、手技自体は簡単です。使用する針もとても細いので、出血の心配もほとんどありません。
またこの手技は、圧測定と同時に肝生検(肝臓の組織を採取する)をおこなえるという利点もあります。
今回、私たちは、UCIでEUSガイド下門脈圧格差測定をおこなった症例を対象として、手技の有用性と安全性についての論文を発表しました。
論文の要旨は、以下のとおりです。
現在のところ、日本ではこの手技はおこなわれていません。
今回の報告はUCI単施設からのものであり、今後、他の施設でもその有用性や安全性が確認できれば、日本でもおこなわれるようになるかもしれません。