消化器内科・内視鏡科
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院長コラム
COLUMN
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2022年10月20日に開催されました第36回 多摩糖尿病チーム医療研究会において、「膵がんと糖尿病」という演題で基調講演をさせていただきました。
講演の要旨は、以下の通りです。
糖尿病は、膵がんの危険因子です。糖尿病の方は、糖尿病のない方と比べて膵がんのリスクが約8〜2.1倍高い、と報告されています。
また膵癌の患者さんのうち、40〜50%の方は糖尿病を合併しています。
膵がんと糖尿病との因果関係については、長期糖尿病(長年にわたる糖尿病)と新規糖尿病(新たに発症した糖尿病)を分けて考える必要があります。
近年、「長期糖尿病は、膵がんの危険因子である」、「新規糖尿病は、膵がんが原因である」、という説が有力です。
すなわち、長期に糖尿病を治療されている方においては、糖尿病が膵がんの原因になる危険性があります。
逆に、新たに糖尿病と診断された方では、膵がんが原因で糖尿病を発症した可能性があります。
長期に糖尿病治療を受けている方で、「血糖のコントロールが悪くなり」、「原因なく体重が減った」場合、膵がんの兆候かもしれません。
そのため、膵臓の精密検査が必要です。
新たに糖尿病が発症した方では、「中高齢以上の方」で「体重が減っている」場合には、膵がんが原因で糖尿病を発症した可能性があります。
通常、糖尿病は、糖尿病科や一般内科で診療されます。
糖尿病患者さんの中から、膵がんを早期に発見するためには、糖尿病・内科の先生方の役割は重要です。
今回の講演が、難治がんである膵がんの早期発見に役立てれば幸いです。
最後に、このような貴重な機会を与えてくださった多摩センタークリニックみらい院長の藤井 仁美先生、多摩糖尿病チーム医療研究会代表幹事の杏林大学医学部 糖尿病・内分泌・代謝内科学講師および近藤医院副院長の近藤 琢磨先生、大正製薬株式会社の関係者の方々、そして本講演に際して資料を提供してくださった埼玉医科大学 消化器内科准教授の水野 卓先生と東京大学 光学医療診療部准教授の中井 陽介先生に厚く御礼申しあげます。