消化器内科・内視鏡科
- 多摩市連光寺1-8-3
- 042-372-4853
院長コラム
COLUMN
COLUMN
嚢胞(のうほう)とは、水風船のような液体の入った袋状のものの総称です。
お腹の嚢胞では、肝嚢胞と腎嚢胞が有名です(腹部エコーなどで指摘されたことのある方も多いと思います)。
肝臓や腎臓の嚢胞の多くは、腫瘍ではありません。そのため、特別なケースを除き、精密検査や治療は不要です。
一方、膵臓にも嚢胞ができます(膵嚢胞)。
近年、健診や人間ドックなどの普及により、膵嚢胞が偶然、見つかる機会が増えています。
それでは膵嚢胞は、肝臓や腎臓の嚢胞と同じように、精密検査や治療は不要でしょうか?
答えは、NOです。
その理由は、以下の3つがあります。
1. 膵嚢胞には、様々な疾患が含まれています(下表)。そのため、膵臓に嚢胞(液体成分)のある疾患をまとめて、「膵嚢胞性疾患」、と呼んでいます。
2. 膵嚢胞性疾患は、腫瘍性と非腫瘍性(腫瘍でないもの)に分けられます。腫瘍性の膵嚢胞性疾患には、悪性化する危険性のあるものがあります。
3. また一部の膵嚢胞性疾患は、膵臓がんと関連があるものがあります。
以上の理由から、膵臓に嚢胞が見つかった場合、まずその嚢胞がどんな種類の嚢胞かを診断する必要があります。
そしてその診断に応じて、経過観察または治療することになります。
それぞれの膵嚢胞性疾患については、別コラムで説明します。
・膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)については→https://miyuki-cl.com/blog/今月の1例:膵粘液性嚢胞腫瘍(mcn)/
・膵漿液性嚢胞腫瘍(SCN)については→https://miyuki-cl.com/blog/今月の1例:膵漿液(しょうえき)性嚢胞腫瘍(scn/
・膵神経内分泌腫瘍については→https://miyuki-cl.com/blog/今月の1例:膵神経内分泌腫瘍(nen)/
<嚢胞化した膵神経内分泌腫瘍(超音波内視鏡検査)>
(Tsujino T et al. DDW 2016)